奈良の学校では4月10日に落雷による事故が起きたが、4月14日は九州北部でも大気の状態が非常に不安定となり各地で雷注意報が出された。

突然の雷から身を守るにはどうしたらいいのだろうか。

各地で雷注意報が出される
各地で雷注意報が出される
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住宅の屋根に「ひょう」が激しく打ちつける

4月14日午前10時ごろの福岡県宗像市。住宅の屋根に「ひょう」が激しく打ちつけた。ほかにも福岡市や新宮町など県内各地でひょうの観測が相次いだ。

上空に強い寒気を伴った低気圧が近づいた影響で、九州北部では広い範囲で大気の状態が非常に不安定になり、福岡・佐賀・大分などのほぼ全域で一時、竜巻注意情報が発表されたほか、各地に雷注意報が出された。

福岡・小郡市(14日、視聴者撮影)
福岡・小郡市(14日、視聴者撮影)

昼すぎの福岡市上空はみるみるうちに暗雲が立ち込め、たちまち薄暗い雰囲気に一変した。

福岡市(14日午後0時半ごろ)
福岡市(14日午後0時半ごろ)

突然の悪天候 交通機関に影響も

突然の悪天候に交通機関にも影響が出た。山陽新幹線は強風の影響で博多~小倉間で一時、運転を見合わせ、一部の列車に最大17分ほど遅れた。利用客からは「風の問題があるからちょっと怖い」「(福岡に)着く時に強風で着陸できず、飛行機でぐるっとうろちょろさせられた。出張なので困った」との声が聞かれた。

JR博多駅(14日午後0時半ごろ)
JR博多駅(14日午後0時半ごろ)

「雷のような音がしてテレビや電気が消えた」

雷が原因とみられる火事も起きた。警察や消防によると4月14日午前11時すぎ、筑前町上高場で木造2階建ての住宅が焼けた。筑前町では当日朝から雷注意報が出ていて、出火当時1階にいたという住人の女性は「2階の方から雷のような音がしてテレビや電気が消えた。そのあとに1階のリビングのエアコン部分が赤く燃え上がっていた」と話しているという。女性にけがはなかった。

火事があった現場(14日、福岡・筑前町)
火事があった現場(14日、福岡・筑前町)

夏にかけて発生が増えるおそれがある突然の雷雨。4月10日には奈良市の学校のグラウンドに雷が落ち、男子生徒3人が意識不明の重体となる事故があったばかりだ。落雷のエネルギーはコンクリートブロックを一瞬にして大破させてしまうほどの大きさだ。

コンクリートブロックが大破(提供:電力中央研究所)
コンクリートブロックが大破(提供:電力中央研究所)

マネキンを並べた落雷実験では…

雷から身を守るためにどのようなことに気を付ければいいのか。背の高さの違うマネキン2体を並べた実験では、背の高いマネキンの方に雷が落ちた。続いて、傘を持ったマネキンと何も持たないマネキンの比較では、雷は稲光を放ち傘を持った方のマネキンへ。これらの実験からも雷は「高いところ」や「とがったもの」に落ちやすいことがわかる。

雷は高いところやとがったものに落ちやすい(提供:電力中央研究所)
雷は高いところやとがったものに落ちやすい(提供:電力中央研究所)

雷の電流が別のところに飛び移ることも

さらに注意が必要なのが「木の下での雨宿り」だという。木の近くに置いたマネキンが雷に打たれる様子をよく見ると、雷が木からマネキンに移っていることがわかる。これは「側撃」という現象で、落雷を受けた物や人から雷の電流が別のところに飛び移ることだ。

「木の下の雨宿り」に注意(提供:電力中央研究所)
「木の下の雨宿り」に注意(提供:電力中央研究所)

できる限り頑丈な建物や車の中に避難を

雷の被害から身を守るにはできる限り頑丈な建物や車の中に避難するか、隠れる場所がない場合はなるべく低い姿勢を保つことが大切だ。

この時期の雷についてTNCの町田朱理気象予報士は「強い寒気が入ることによって、地上との気温差が大きくなるので発達した雨雲が流れ込みやすくなる。そうすると発達した雨雲から雷が落ちやすくなる」と話す。

4月15日も九州北部地方の上空約5500メートルには氷点下24度以下の寒気が流れ込み、大気の状態が不安定となっていて、福岡県では夕方にかけて局地的に積乱雲が発達し、落雷や突風、ひょうが降るおそれがある。

気象台は落雷や突風、ひょう、急な強い雨、農作物や農業施設の管理に注意するよう呼びかけていて、今後発表される注意報、気象情報などを確認してほしいとしている。

TNC気象予報士・防災士 町田朱理
TNC気象予報士・防災士 町田朱理
テレビ西日本
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