2024年の夏以来、コメ不足に端を発する “令和の米騒動”。農林水産省によると、3月24日から30日に全国のスーパーで販売されたコメ5キロあたりの平均価格は、2024年の同時期より2倍以上高い4206円で、13週連続で最高値を更新しています。こうした中、政府が放出した備蓄米が福井市内のスーパーでも並び始めました。備蓄米放出によって販売価格は果たして下がるのか、コメ不足の解消につながるのか取材しました。
     
10日午前10時過ぎ、備蓄米を載せたトラックが福井市のAコープやしろ店に到着。納品されたのは、JA福井県が1回目に落札した備蓄米、2024年産の県産ハナエチゼン5キロ100袋です。
 
到着してすぐに店内に運ばれ、さっそく店頭に並べられました。パッケージには備蓄米の表記はなく、これまで販売していた同じ品種のものと同様のパッケージが使われているため、見た目では備蓄米かどうかは分からない状態です。
 
違うのは「価格」です。初めて店頭に並んだ備蓄米、県産ハナエチゼン5キロの価格はAコープ全店統一で税抜き3180円と、直近の販売価格と比べて1000円程度安くなっていて、1人2袋までという条件付きでの販売です。
  
コメの価格高騰が続く中、ハナエチゼンは比較的安いため他の品種よりも需要が高く、卸業者の「パールライス」では不足の状態が続いています。そのため、この店舗では、しばらく5キロや10キロ入りの販売をできず、2キロの袋しか並んでいない状態でした。
   
10日は久々に5キロサイズのハナエチゼンが陳列されると、価格も県産コシヒカリに比べて1100円安いため、さっそく買い求める客の姿が見られました。
 
客は「安かった。何でも高くなっているからコメが安くなってくれるのはありがたい」と話していました。
  
Aコープやしろ店の山上剛副店長は「パールライスも企業努力し、店も努力し安価にした。価格も当面同じ価格でいく予定」としています。
   
政府は備蓄米放出により、コメ全体の価格抑制につなげたい狙いがありますが、山上副店長は「備蓄米で放出されたのはハナエチゼン。それ以外のコメは放出されていないので、価格が下がる要因が見受けられない。高止まりが続くのでは…新米の時期まで」と、他品種の価格は今後もあまり下がらないと見ています。
   
Aコープに備蓄米を納品したパールライスによると、今後も毎週末に納品し、2025年産の新米が出る8月までは出荷を続ける見通しとのことですが、どこまで販売できるかは売れ行き次第だとしています。
  
一方、福井市のハニー食彩館やしろ店には8日、米卸業者の福井県米穀から備蓄米の県産ハナエチゼン10キロ15袋が納品されましたが、「一気に売れてしまった」といいます。
  
ハニー食彩館やしろ店斎藤秀樹次長:
「当日に8本売れて、翌日の午前中に気づいた時には売り切れていた」
   
販売価格は10キロ税抜き5980円と価格が抑えられているとはいえ、例年と比べると1.5倍。また、広告なども一切していない中での売れ行きに、店としても驚いているといいます。
  
斎藤次長は「福井の場合はブランドとしてコシヒカリがすごく売れる。この時期はハナエチゼンは買ってもらえるのか疑問があったが、瞬間に近い状態で売れたのは驚き」と話します。
  
この店では、来週以降も毎週火曜日に備蓄米ハナエチゼン10キロが20~30袋入荷される予定です。
  
石破総理は9日、コメ価格の高止まりが続いていることを受け、農林水産省に政府備蓄米を夏まで毎月放出するよう指示しました。
  
JA福井県では、今後も入札を続けるかどうか「現段階では未定」としています。

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