約50年の歴史に幕を下ろした新潟市中央区の地下商店街・西堀ローサ。駅に直結していない日本唯一の地下商店街の営業最終日の様子と今後の利活用を望む人たちの声などを取材した。
かつてはにぎわいも…営業最終日迎えた“西堀ローサ”
新潟市古町地区の地下街として1976年にオープンした『西堀ローサ』。

ピーク時には年間50億円ほどの売り上げを記録。流行を発信する日本有数の地下街としてにぎわいをみせてきた。
しかし、運営する第3セクター新潟地下開発は施設の老朽化・そして経営の悪化などにより解散を決定。すべてのテナントが退去することになり、3月31日に営業最終日を迎えた。

1976年のオープン時からたびたびローサを訪れてきたという女性は「子どもが小さいころは食事に連れてきた。やっぱりさみしい」と話し、この場所で紡がれた家族の思い出を回想した。
ローサが最後だということで訪れたという高校生たちは「古着屋がいっぱいあった。そこで買っていたりしたので悲しい」「やめないでほしい。雨が降っても大丈夫だし、わりと人がいるので、明るい良い感じの雰囲気があった」と話していた。
それぞれの思い出を確かめるように、営業最終日には若者からお年寄りまで多くの人が訪れていた。
現実受け入れるも本音が「最後はみんなでさようならを…」
最終日まで営業を続けてきた婦人服店『とうりゃんせ』は別れを惜しみつつ、その現実を受け入れていた。

大波愛子店長は「まあ、この人だからしょうがない」と最終日を迎えた心境を話す。
もともとは新潟駅に店を構えていたが、駅のリニューアルに合わせ、ローサに移転したのが約6年前。百貨店などの相次ぐ撤退により、にぎわいが失われていく地域の苦境を見つめてきた。
一方で、大波店長は「憧れではないけど、やっぱり最後はみんなで、三越や大和みたいに『皆さん、さようなら』で終わりたかった。シャッターを閉めて、時間になったら勝手に帰ってくださいではなくて」と本音を吐露した。
店の今後については、まだ決まっていないという。
多くの人に見届けられながら営業終了
午後7時…「本日も西堀ローサをご利用いただきありがとうございました。またのご利用をお待ちしております」
いつもと変わらぬ館内アナウンスが流れ、店舗のシャッターが下ろされた。その営業終了の瞬間を多くの人が見届けに来ていた。

「母と一緒に買い物に来た。いっぱい思い出があるので見届けようと思ってきた」「昔はすごくキラキラしていた。たくさん人がいたし、色んなファッションが楽しめたし、たくさんのお店があって本当に良いところだった」「いつも行っているお店があって、そこに顔を出してきた。古町の皆さんの居場所というか、よりどころに新しい形で変わってくれれば」
見届けに来た人たちからは惜別の想いと今後のローサの利活用を願う声が聞かれた。
古町地区の地下に広がっていた商店街はその役目を終え、半世紀近い歴史に幕を下ろした。
市有化の方針もいまだ“活用方法”決まらず…
運営会社・新潟地下開発の佐藤健之取締役は「古町商店街のポテンシャルがどんどん低くなる中で、このような事態に立ち入ったことは非常に残念」とローサの営業終了を受け止めていた。

新潟市は25年度中に西堀ローサを市有化する方針を示しているが、その後の施設の活用方法はいまだ決まっていない。
今後については「人々が色んな形で集まるような機能がローサにできあがれば、またこの古町は再生するのではないかと思うが、このローサにもう一度商業テナントを集めようとしても僕は難しいと思う」と同じ形での再起は厳しいだろうという認識を示した。

その上で佐藤さんは、新潟市には市民の合意を得て、古町地区に人が集まる機能をつくっていくことを期待する。
「多くの人に来ていただければ、当然ビジネス的ポテンシャルが高くなる。古町商店街には空き店舗がいっぱいあるから、そこにテナントが入ってくれば総合的に活性化してくると思う。人が集まってくれば店舗は出店する。テナントもここだったら商売ができると。でも、人がいないところにテナントを出してもビジネスとして成立し得ない」
再生が望まれる西堀ローサは今後どのような道をたどるのだろうか。
(NST新潟総合テレビ)