元タレントの中居正広氏と元アナウンサーの女性との事案を巡りフジテレビの対応に問題が指摘される中、当事者の1人が4日、取材に応じました。

フジテレビ元専務・大多亮関西テレビ社長:
Aさんの心情に寄り添うことができず、彼女を苦しめてしまったことは本当におわびしたいと思います。彼女の意思を無視し、彼女に責任を転嫁する行為だったという第三者委員会の調査報告書の指摘を大変重く受け止めております。

被害女性に謝罪したのは、事案当時のフジテレビ専務で関西テレビの社長・大多亮氏(66)。

第三者委員会の調査報告書では、フジテレビの港前社長らとともに、当時の認識や対応が誤っていたことに加え、中居氏の番組出演を継続したことについて、二次加害と指摘されました。

そして4日午後。

フジテレビ元専務・大多亮関西テレビ社長:
本日付で関西テレビの社長を辞任いたしました。この度の中居氏に関する問題について、視聴者のみなさま、ステークホルダーのみなさま、関係者の皆さま、さらに社員のみなさまに大変ご迷惑をおかけしたことを心からおわび申し上げます。

この取材対応に先立ち、関西テレビの臨時取締役会で大多氏は自ら辞任を申し出ました。

大多氏は1981年、フジテレビに入社。
多くのドラマ制作を手掛け、「東京ラブストーリー」「101回目のプロポーズ」をはじめとする90年代のフジテレビを代表するヒット作をプロデュースしました。

いわゆる「月9」や「トレンディードラマ」ブームの火付け役となったのち、フジテレビの取締役を歴任。
2024年からは、フジテレビの系列局の関西テレビの代表取締役社長を務めています。

中居氏と元フジテレビアナウンサーの女性との事案が起きた2023年当時、フジテレビの専務だった大多氏。
取締役として、この問題の報告を受けた最初の人物でした。

2025年1月、この問題について問われた大多氏は「中居氏の方を守ろうとか、そういう意識はなかったです。(Q.自身の感情に怒りがあった?)そうとっていただいて結構です」と述べ、中居氏に対して怒りがあるとの思いを明らかにしていました。

一方で、3月31日に公表された第三者委員会の調査報告書では、「港社長及び大多専務は、G氏とE氏の報告内容から、性暴力を受けた事実について報告を受けたにもかかわらず、『プライベートにおける男女トラブル』の事案と認識した」「港社長ら3名の性暴力に対する無理解と人権意識の低さが見て取れる」と指摘。

この調査報告書を読んで、最終的に関西テレビ社長を辞任する決意をしたという大多氏。被害を受けた元アナウンサー・A氏に寄り添えていなかったと謝罪しました。

フジテレビ元専務・大多亮関西テレビ社長:
プライベートな問題と考えてしまい、その後はとにかく彼女に取り返しのつかないことが起きてはならない、万が一のことが起きてはならないと言う思いで対応してきました。

大多氏は、当時は被害女性を守るため最善の対応を心掛けていたとする一方で…。

フジテレビ元専務・大多亮関西テレビ社長:
Aさんからすると、心境がいろいろ変化したりしている中で、中居氏の番組を終わるのは、彼女の病状を見てとか、そういうことを考えている私たちに対して責任転嫁じゃないかという認識を持ったのだと思うんです。大事なところは、彼女の心情の変化にアプローチできなかった、極端な話、これほどクローズしたラインでやりましたから、港社長や私が本人に聞きにいってもよかったのではないかと思っています。(Q.コンプラや専門家への情報共有は思いつかなかった?)思考停止という書かれ方もあったが、その時はまず彼女を守らなきゃということが強すぎて。

一方で、今、被害女性にかけたい言葉を尋ねられると…。

フジテレビ元専務・大多亮関西テレビ社長:
おわびしたいです。会っていただけるかわからないですけど、今みたいな自分たちの対応が、傷つけていたわけですから、とにかく謝りたいです。

さらに、A氏の相談に乗り、思いを受け止めてきたA氏の上司についても…。

フジテレビ元専務・大多亮関西テレビ社長:
ずっと彼女にその役割をしてもらっていたわけです。彼女も普通のフジテレビの社員ですから、こういう事案に対する対応は、なかなか難しかったと思うし、それを我々は気づかずに彼女にやってもらっていた。これも本当にFさんには謝りたいと思う。

一方、中居氏については…。

フジテレビ元専務・大多亮関西テレビ社長:
1回目の会見で聞かれて、「怒りを感じますか」と聞かれて「そうとって結構です」と答えましたが、今となっては適切かどうか分からないですが、コメントもないです。

さらに、フジテレビの企業風土についても質問が及びました。

フジテレビ元専務・大多亮関西テレビ社長:
(Q.フジテレビの風土が影響していたと感じたか?)報告書の中にも、編成ラインであるとか、いろいろな言葉が出てましたが、企業風土が影響しているというような認識は自分の中ではなかったです。ただ、指摘されると、あまりにも編成ごと、クローズされたところで決めているではないかということに関しては、そのように見えても仕方ないのかなと思います。