備蓄米を放出し、コメの価格の安定を目指している政府。しかし、地域密着型のスーパーでは備蓄米が入荷されていないほか、比較的価格の安いコメが人気で品薄となり、コシヒカリなどブランド米の価格を上回る逆転現象が起きているという。新潟県三条市のスーパーを取材した。
地域密着型のスーパー “備蓄米”入ってこず…
4月1日に2回目の入札を終え、予定した21万トン全てが落札された備蓄米。江藤拓農水相は「これらにより価格が落ちついて目詰まりが解消されることを期待している」と話した。

しかし、コメどころ新潟県にある地域密着型のスーパーには、備蓄米が入荷されていなかった。
スーパーマルセン(三条市)の太田雅悠専務は「新潟県はどちらかというとコメの産地なので、ちょっと後回しにされているのではないかなと感じている」と話す。
21万トンを放出しても、全国の隅々まで行き渡る量とは言えないようだ。

このため、地元・下田産のコシヒカリは4600円、新潟県のブランド米・新之助が4800円、魚沼産コシヒカリは5700円の価格で販売されていた。(いずれも5kg)
備蓄米の効果に疑問「2000円台は厳しいのでは」
一方で、備蓄米をめぐっては、集荷業者が政府から売り渡されたのと同じ量のコメを買い戻すことが条件となっているため、太田専務は備蓄米の価格は期待するようなものにはならないと見ている。

「そもそもの入札価格だとか、そういったのを逆算してみても、期待する2000円台での流通は本当に厳しいのかなということを感じている」
備蓄米の効果については買い物客からも「あれだけ放出したのだから普通安くなるはずだが、安くならない」「(コメの価格が)どうにかなってほしいが、どうして、そう下がらないのか分からない」などの声が聞かれた。
「ありえない状況」価格の逆転現象も?
また、このスーパーでは、価格の逆転現象も起きているという。
県のブランド米である新之助が5kgで4860円なのに対し、早生品種のコシイブキが5000円を超えていた。

本来、他のコメよりも価格の安いコシイブキに人気が高まり、品薄となったことが高騰の要因だと太田専務は話す。
「コシイブキがコシヒカリを超える価格がつくのは、スーパー業界ではありえない状況」
さらに、問屋や銘柄によっては2024年産米が“終売”となるコメも出ているという。
太田専務は「備蓄米をさらに放出していただいて、少しでも相場のさらなる高騰とか、その先にある米騒動のような、コメが全くないような状況に絶対陥らないようにしてほしい」と政府に注文する。
「必要であれば躊躇なく次の放出を決断する」と話す江藤農水相。的確な施策で価格が安定し、安心してコメを食べられる日が待たれる。
(NST新潟総合テレビ)