接触確認アプリに不具合 通知とアプリの情報が真逆に

内閣府CM:
自分を守るために。大切な人を守るために。自分の暮らす地域を守るために

新型コロナウイルスの接触確認アプリ「COCOA」のコマーシャル。

8月27日 福岡市の担当者:
2,532例目の方(陽性者)が接触確認アプリ「COCOA」で接触情報があって、検査につながった

アプリをきっかけに感染が判明するなど、福岡でもCOCOAの成果が出る中、「致命的」とも言える不具合が波紋を広げているのをご存じだろうか…

その不具合を経験した会社員の女性。COCOAから通知が届いたのは、8月下旬のことだった。

「COCOA」を利用する30代女性:
これなんですけど。「COVID-19にさらされた可能性があります」というのが急に来ました。やっぱり怖かったですね

COCOAは、利用者同士が15分以上、1メートル以内に近づくと、それぞれのスマートフォンに接触したという情報が記録される。
その後、2週間以内に接触した相手の中から陽性者が出た場合、「濃厚接触の疑い」があるとして通知を受けられる仕組みだ。

通知を受けた人は、COCOAのアプリを開くと、いつ接触があったかを把握でき、速やかに保健所のサポートを受けられるはずなのだが…

「COCOA」を利用する30代女性:
アプリの方には、そういう表示が出ていなかったので、それはこんな感じ。通知で書いてあることと、アプリで出てきていることが真逆のことだったので、「あれ? どういうことかな」とびっくりしました

「濃厚接触」の一報が入ったのに、その中身を確認すると、なぜか「接触なし」の画面が表示される。

「COCOA」を利用する30代女性:
どっちを信じていいのかわからないので、不安な時間が始まって…。ただ、どちらかわからない以上は、自分は濃厚接触したとして行動しないといけないかなと思った

全国でも同様の“致命的”不具合 揺らぐ信頼

実は、このところ同じ不具合に戸惑う利用者が全国で相次いでいる。

Twitterより:
COCOAアプリでまた濃厚接触の可能性通知来た。アプリ開いたら接触なし。どっちなの? ちゃんとしてほしー

Twitterより:
通知を受けるも、アプリ自体には接触無しの表示がされている。体調不良もなく至って元気だが不安…

2020年6月 安倍首相:
人口の6割近くにアプリが普及し、濃厚接触者を早期の隔離につなげることができれば、ロックダウンを避けることが可能になる

政府が肝いりで6月に導入し、広く利用を呼びかけているCOCOA。ただ、ダウンロード数は人口の13%程度にとどまっている。そして、肝心の「陽性者の登録」にも強制力はない。

COCOAでは、感染した人が自ら保健所から発行される処理番号を入力し、陽性の登録をして初めて相手に通知される。サービス開始以降、全国の感染者が約5万6,000人にのぼる中、陽性の登録をした人はわずか710人となっている。

仲村健太郎記者:
アプリのダウンロードは任意。陽性者の登録も任意。わたしたちの自主性に委ねられる中で、基本となるのはアプリへの「信頼」だが、その信頼が今揺らいでいる

利用女性「アプリに振り回された」

陽性者と濃厚接触したのか、それともしていないのか…
勤務先の指示で「自宅待機」となった女性は、アプリを管轄する厚生労働省のホームページを開いた。

「COCOA」を利用する30代女性:
こういうことが起きた場合は、「メールで問い合わせてください」ということだったので、すぐそこに送ったら、なかなか返事が返って来ないのもあったのでフリーダイヤルの方に掛けたら、「アプリのことに関しては、自分たちはわからないので、とにかくメールを待ってくれ」としか言われない。どうしたらいいんだろうという感じですね

COCOAをめぐっては、国が8月、通知を受けた人であれば無料でPCR検査を受けられるよう各自治体に要請していた。
そこで女性は、福岡市の窓口に電話で相談をしたのだが…

福岡市の相談センター担当者:
通知が来ても、アプリでの表示がないと、いつ陽性者と接触したか確認できないので、無料でのPCR検査はできません。不具合については、国に問い合わせてもらうしかありません

しかし、国からは、丸一日たっても「返信なし」。

相談を受けた勤務先も、どう対応すべきかはかりかねたため、結局、経費でPCR検査を受けさせることにした。
検査結果が出るまでの3日間、女性は、自宅待機を強いられることとなった。

「COCOA」を利用する30代女性:
通知を受けられることをメリットに感じて入れていたが、肝心の通知の部分で本当かどうか分からない状況で、だいぶ振り回されたので、このアプリ何だったんだろうというか。また同じことがあっても嫌だし、いったんアプリを削除してもいいかなという気持ちになっている

今回の不具合について、アプリの社会活用にくわしい専門家は、厚労省の対応の遅れを指摘する。

インターネットプラス研究所・澤田翔所長:
一般的にソフトウェアは、毎日何十もの修正をして、それを定期的に1週間とか2週間単位でお届けするが、今回の厚労省の場合は7週間以上、ほとんど何も修正ができていなかった。ちゃんと開発チームが動いていればそのようなことがないはずなので、厚労省での開発体制が全く動いてなかったのではないかなと思う

厚労省の担当者は、取材に対して「多数の意見を頂戴していることは把握しています。本件に関しては、アプリの不具合なのかどうかを含め原因を調査中です」と回答した。

本当に接触を知らせる通知だったら…

こうしたさなか…

「COCOA」を利用する別の30代女性:
通知は来たが、アプリを開いたところ、陽性者との接触がありませんと出てきたので、通知は誤報というか、間違いだったのかなぐらいの気持ちで私の中で終わってて

同じ不具合に直面しても、通知を全く気にとめなかった女性もいる。
アプリの「接触なし」という表示に安心し、勤務先をはじめ、誰にも知らせなかったという。

「COCOA」を利用する別の30代女性:
勤務先の対応としては、アプリで陽性者との接触の通知が来た場合は問答無用で自宅待機になっているが、私の通知の場合は、アプリ内で接触なしだったので、自分は濃厚接触者じゃないんだなって、自分の中で確定してしまった

もしその通知が、本当に接触を知らせるものだったとしたら…
今のままでは、濃厚接触者の「取りこぼし」につながりかねない。

(テレビ西日本)