大相撲・春場所で3度目の優勝を果たした大関・大の里を筆頭に白熊・嘉陽・欧勝海といった関取を輩出している新潟県立海洋高校。その相撲部にカメラが潜入し、次世代を担う力士の思いなどに迫った。
活躍する先輩の背中追いかけ日々稽古!
放課後、稽古に励んでいた新潟県糸魚川市にある海洋高校相撲部。

大相撲春場所で3度目の優勝を果たし、夏場所で綱取りに挑む大関・大の里をはじめ、白熊・嘉陽・欧勝海といった関取を輩出している名門だ。
高校時代の大の里を指導していた田海哲也総監督は「いま、先輩らも活躍しているが、『今度は君たちが輝く番だよ』『君たちが今度は頑張っていこう』ということは常日頃言っている」と話す。
そんな偉大な先輩の背中を追って、日々稽古に励む海洋高校では、現在1・2年生5人が所属している。

全国大会を目前に控えたこの日、田海総監督は「もっと自分を信じて。強いのに、自分の力を出し切れずにやられちゃう」と選手たちに伝え、自信を持つことの大切さを説いた。
2月の全国選抜大会で予選敗退した悔しさを晴らすため、チームメイトと話し合いながら自主的に練習する姿も見られた。

モンゴル出身のナラントヤーフセルバートル選手は「練習が終わったあと、だいたい自分の時間があるので、そこでだめなところとかを話したりしている」と話す。
田海総監督も「選手で話し合って技術を向上させるというのは一番伸びてくる」と評価する。
期待の中学生 高校生に苦戦も「負けないと強くなれない」
そんなチームを引っ張るのは、キャプテンの山本大吾選手だ。

地元・糸魚川市の相撲大会に出場したのをきっかけに本格的に競技を始めたといい、小学生時代から海洋高校の道場で稽古するようになったという。
このように、高校入学前から地域で一貫した指導を行うことが、海洋高校出身の力士を輩出し続けられる理由の一つだ。
この日も地元の中学校に通う2人の生徒が稽古に参加していた。

「自分の限界まで追い込んで、さらに追い込むのでめっちゃキツい」と話すトゥブシンボルドくんは、中学1年生ながら身長180cm、体重104kgという恵まれた体格を誇る期待の選手だ。
田海総監督も「大の里に匹敵するような中学1年生で本当に素晴らしい。期待しているし、大きく育てないといけない」と太鼓判を押す。

“大の里レベルの大器”と評されてはいるものの、練習で高校生を相手に組み合うと歯が立たず。それでも下を向かず立ち向かっていく。
トゥルシンボルドくんは「負けないと強くなれないので。キツいが、成長しているところも実感できるのでとてもいい」と練習の手応えを話す。
トレーニングの一環“食事” おかわりは義務!
選手たちが稽古で発揮する力強いパワーをつくる源は寮で出される食事だ。

ご飯は直径20cmほどの大きな器に山盛り。キムチと豚肉の炒め物などご飯が進みそうなおかずとともに口にかき込む。
早々に平らげると台所に向かい、再び器にご飯を盛っていく。寮ではご飯のおかわりが義務づけられていて、一日に炊くお米の量はなんと最大10升だ。

ただ、後半になるにつれて食べるペースは遅く…。山本選手も「いっぱい食べるのでつらいときもある」と本音をこぼす。
それでも食べることもトレーニングのため、ふりかけやおかずを乗せ、工夫しながら箸を進めていた。
1年生の多田福之助選手は「ご飯を食べないとすぐにやせちゃう。相撲は体重ないと勝てない」と食事の大切さを語る。

トレーニングも食事も、すべては強くなり、憧れの先輩に追いつくため。
夢の舞台で活躍することを目指し、きょうも稽古に励む。
(NST新潟総合テレビ)