進学や進級を迎える春は、保護者の経済的負担が大きくなる時期だ。物価高が続く中で出費を抑え、さらには資源を有効活用しようと“リユース制服”への注目は年々高まっている。
広がる“リユース制服”への理解
新潟県長岡市では、シルバー人材センターがリユース制服の販売に力を入れている。

事務局のすぐ隣に展示コーナーを設置していて、長岡市内の小学校から高校までのリユース制服を450点ほど並べている。
いずれも市民から寄付されたもので、上着は2000円、ズボンやスカートは1000円という価格だ。
経済格差の縮小と資源の有効活用を目指して
長岡市シルバー人材センターがこの事業を始めたのは2014年。

担当の小畑加代子さんは「家庭で眠っている制服がもったいないという気持ちから始めた。当初は制服の集まりが悪かったが、徐々に存在を知られてきて、販売・持ち込みともに広がりを見せている。近年、経済状況が厳しくなっているので、経済格差の縮小の一助となること、そして、資源の有効活用をしたいという思いで行っている」と説明する。
きれいな“リユース制服”の秘密はシルバー会員の検品
学生服の大手メーカー・カンコー学生服が全国の中高生1400人に聞いたところ、9割近くの生徒が制服をリユースすることについて「とても良い」「まあ良い」と回答するなど、社会的な認知は進んでいる。

長岡市シルバー人材センターに並ぶ制服はどれもとてもきれいだ。
担当の小畑さんは、「きれいなものを寄付していただいているということもあるが、展示する前にシルバー人材センターの会員がすべて検品している」と、美品である理由を教えてくれた。
ほつれがないか、ボタンがしっかりついているかなどを確認した上で、必要があれば補修をしたり、アイロンを掛けたりしているという。
出費が多い春 家計に優しい“リユース制服”
この日は、私服の高校に進学予定の生徒がジャケットを求めて保護者とともに訪れていた。

保護者は、「入学時は出費がかなり大きい。中古のもので揃えられれば親はありがたい」と本音を漏らす。
リユース制服への関心について、新潟市内の小学校の卒業式に出席していた保護者にも尋ねたところ、「どこまで物価が上がっていくか分からない。リユースのものがあれば利用していきたい」「新しいものはうれしいが、そうでなければダメということはないと思う」「“使えるものは使っていく”ということを子どもたちが覚えてくれればいい」など、前向きな意見が多く聞かれた。
使用済みの制服半数がクローゼットで眠っている?
そもそも卒業後の制服の行方はどうなっているのだろうか?
カンコー学生服の調査では、全国の高校生1200人のうち約半数が「中学校の制服を今も保管している」と回答している。

長岡市シルバー人材センターの小畑さんは、「家に眠っている制服があればぜひ寄付していただければと思う」と呼びかける。
リユース制服は、入学・進級シーズンだけでなく、子どもが成長し制服のサイズが合わなくなったときや、夏服が必要になったときなど様々な場面で有効だ。
経済的な助けになるという意味においても、地球環境に配慮する観点からも、リユース制服が確かな選択肢となっていくことが求められている。
(NST新潟総合テレビ)