2020年7月豪雨で被災し、一部区間で運休が続くJR肥薩線について、鉄道での復旧に向けて熊本県と地元12市町村でつくる再生協議会が3月25日に開かれ、復旧が決まった区間の15の駅のうち、3つの駅を廃止することで合意した。
瀬戸石・海路・那良口の3駅廃止で合意
人吉市で開かれた熊本県と地元12市町村でつくるJR肥薩線の再生協議会、会長を務める亀崎直隆副知事は「最終合意を目指す年度末まで残りわずかとなり、ここがまさに正念場と考える」と話し、3月25日の会議を『正念場』と表現した。

2020年7月豪雨で甚大な被害を受けたJR肥薩線は、いまなお一部区間で運休が続いていて、国と熊本県、JR九州でつくる検討会議は、八代駅と人吉駅の間で鉄道での復旧を『基本合意』している。

一方で、2024年度中の『最終合意』に向けて、駅の配置などあり方が課題となっていて、熊本県は『拠点性』と『にぎわいの創出』の両面で、検討してきた。

非公開で行われた会議終了後、亀崎副知事は八代市の瀬戸石駅、芦北町の海路駅、球磨村の那良口駅の3つの駅を廃止する案が合意されたと明らかにした。

3つの駅は被災前に1日当たりの利用者が1人以下と少なく、復旧後の『拠点性』と『にぎわいの創出』で見通しが立たなかったという。
廃止が決まった駅の市町村のトップは
瀬戸石駅がある八代市の中村博生市長は「あそこ(瀬戸石)の地域も災害後(人口)流出がひどくなっている。『にぎわいの創出』を一番に考えているようなので、そういうことを考えれば致し方ないという思いに至った」と述べた。

また、那良口駅がある球磨村の松谷浩一村長は「一番の目的は球磨村にとっても『肥薩線の復旧』なので、それを考えると今回の判断はやむを得ないのかと思う」と話した。

また、海路駅がある芦北町の竹﨑一成町長は、TKUの取材に対して「駅周辺は豪雨で被害を受けていて、地元で再建を望む人もおらず、やむを得ないと思う」とコメントした。

亀崎副知事は「これまでの総意について、検討会議の場でしっかりと思いを申し述べて、最終合意につなげていきたい」と、国とJR九州との最終合意に向けて意欲を示した。

再生協議会で合意された3つの駅の廃止を受けて熊本県は、3月中に国とJR九州との検討会議を開き、最終合意したい考えだ。
(テレビ熊本)