新潟市中央区の古町地区にある地下街『西堀ローサ』は3月末で全テナントが撤退する。移転に向けて営業を終える店や感謝の思いを胸に別れを告げる人たちを取材した。
別れ惜しむ常連客…タオル専門店の“営業最終日”
3月16日、西堀ローサに店舗を構えるタオル専門店ラビックの店頭に立っていたのは、店主の折笠雄司さんだ。
「もう最終日が来ちゃったなというのが第一の印象。本当にこれで終わりかなと」

西堀ローサでの営業終了が2時間ほどに迫った心境を微笑みながらこう語った折笠さん。その表情には寂しさがにじんでいた。
1969年の創業後、大和デパートに店舗を構え、約15年前から西堀ローサに移転し、営業を続けてきた。

多くの常連客などが訪れた営業最終日。
ラビックとは数十年の付き合いだという女性客は「本当に気楽に『タオルが一本ない』なんて言って買いに来たりしていた」と店との思い出を回想し、最後の記念にと孫へのプレゼントとしてハンカチを購入した。

店舗はこれまで営業してきた古町地区からは離れた場所に移転する予定で、常連客は「年配だから遠くなると行けない。色々変わるが、しょうがない」と店との別れを惜しんだ。
息子とともに店舗継続へ「移転しても変わらずに」
古町地区の人出が減っていくのに伴い、ラビックの店舗売り上げも全盛期だった15年前の半分近くまで落ち込んでいたという。
それでも「ラビックという会社を辞める。そういう選択肢もあるが、息子もやりたいと言っていて、それでやろうと。まだ不安はあるが、やろうという感じで」

店舗が西堀ローサに移転してきた後からラビックで働き始めた拓磨さんが今後の営業継続の意思を示したことが、店舗継続の決断を後押しした。
拓磨さんは、ローサの営業終了が決まったときは疑問や憤りを覚えたこともあったというが、退去が決まったいま「場所が変わったからといって変わらずに、僕は新潟が大好きなので、新潟の方が『タオルだったらあそこに行けばいい』と、会いに行けるお店にしたいと思う」と気持ちを切り替えて前を向いている。
店舗営業の終了直前には、拓磨さんの妻と子どもが閉店を見届けに来た。拓磨さんは「家族のために頑張っているのでうれしい」と涙ぐみながら家族の絆を感じていた。

折笠さんは「新店舗でなんとかやっていけたら。これから頑張ろうという息子の意気込みも聞いたし、うれしい」と新店舗への思いを新たにしていた。
拓磨さんは「地域を大事にして、新潟が大好きなので、皆さんと一緒に盛り上げていけたら」と、この先もさらに地域に愛される店舗づくりをしていく意思を示した。
(NST新潟総合テレビ)