東京地裁が、旧統一教会に解散命令を出した。これまでに同様の解散命令が出たのは地下鉄サリン事件の「オウム真理教」と霊視商法事件の「明覚寺」。2団体は、いずれも刑事事件で最高幹部が立件されていたが、旧統一教会は代表者が立件されていない中での初の解散命令となった。

「献金勧誘行為は総じて悪質」

福岡市南区。交通量の多い幹線道路のすぐ傍にある建物。世界平和統一家庭連合、旧統一教会の施設だ。取材班が2023年に訪れた時には看板に「生命館」と書かれていたが、現在は「ワンハート」に変わっている。

「ワンハート」の看板が掲げられた旧統一教会の施設(福岡市南区)
「ワンハート」の看板が掲げられた旧統一教会の施設(福岡市南区)
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ここでは、信者への研修などが行われているとみられ、取材したこの日も出入りする人の姿が見られた。

施設に出入りする人の姿も
施設に出入りする人の姿も

3年前に発生した安倍晋三元首相への銃撃事件をきっかけに、高額献金や霊感商法の問題が取り沙汰された旧統一教会。文科省による教団の解散命令請求に対し司法の判断が下された。2023年10月に解散命令請求を受けた東京地裁はこれまで、国と教団から意見を聴く「審問」を非公開で4回実施。

「献金勧誘行為は総じて悪質であり、結果も重大」として「献金は宗教活動の一環」との教団の訴えを退け解散命令を出したのだ。

「解散命令、出た?嬉しいですね。怖いじゃないですか」「よかった。二世の子どもたちが、困ってるから」「信教の自由というのはあるから難しいかなと思いますけど、一旦、白紙にすることはいいことなんじゃないかな」と街行く人々も安堵の表情だ。

母親が1億8000万円以上を献金

「信者を、集金のためのシステムとして、コマとしか考えてないんですよね。金が取れなくなったら簡単に捨てちゃうし…」と怒りを口にするのは、福岡市内に住む男性。母親が40代で信者となり、15年間ほどで1億8000万円以上を献金、長年、苦しんできたという。

男性は今回の司法判断を受けた胸の内を明かしてくれた。「解散命令が出たっていうのは、心から願ってたことなので非常によかったと思います。地下に潜るようなことがないのを願ってますね」と話す男性。

解散命令が確定すると教団は法人格を失い、税制上の優遇がなくなる上、財産の清算手続きが始まり、清算された財産は被害者の救済などに充てられる。しかし、この解散命令あくまでも宗教法人という「法人格」が失われるもので、宗教団体としての活動自体は続けることが可能だ。

教団側は判断を不服として即時抗告する構えだ。取材に応じた教団関係者は「宗教団体を保護し、指導すべき文部科学省がその裁判に勝つために、この教団を解散に追い込もうというやり方は、まさに権力の乱用であって、これは政府の武器化と言って差し支えないと思います。控訴審においては教団が逆転勝訴すると確信しております」と述べた。

これに対し、福岡市の男性は「時間稼ぎも当然あるんでしょうけど、もともとが、家族に対して嘘をつかせるっていうところですから、世間を騙すのは簡単、良心の呵責とか全くないと思いますよ」と言い放った。今後の審理の行方が注目される。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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