シリーズでお伝えしている「フジテレビの反省」。
6回目は、メディアで働く人の多様性についてです。

今回の事案では、意思決定層に女性が少なかったことが問題の1つではないかと指摘されています。

海外の現状などを取材しました。

3月、フジテレビに届けられた2万5000人余りの署名。
テレビ局など、メディアの役員に占める女性を3割に増やすことを求めたものです。

この署名を提出した団体の1つが、日本の民間のテレビ局、ラジオ局、制作会社などの労働組合で構成された民放労連です。

宮司愛海キャスター:
署名活動をしている思いを聞かせてください。

民放労連 書記次長・岩崎貞明氏:
会社の意思決定をする重要な立場にある人たちが、ほとんど男性によって占められているということがあるのではないか。放送局が女性の役員3割以上を早く実現することが、それで全ては解決しないかもしれませんが、少なくとも今までと違う対応が可能になるのではないか。

民放労連の最新の調査では、在京キー局の女性役員の割合は平均13.6%。
フジテレビの取締役については、20人中2人です。

日本の放送業界の幹部に女性が少ないことは、これまでも指摘されてきました。

宮司キャスター:
清水社長も社員向けの言葉の中で、「オールドボーイズクラブから脱さなければいけない」と言っていますが、どういったことが具体的に必要になると思いますか?

民放労連 書記次長・岩崎貞明氏:
若い人に権限や決定権を譲ることを積極的にやることが、すごく大事なことではないか。旧態依然とした体質を改め、「女性も男性も働きやすい環境に」という努力をしていかないと、国際的に取り残される。

では、海外のテレビ局はどうでしょうか。

イギリス最大の民放「ITV」では、現在11人いる取締役のうち女性は6人と、女性の数が男性を上回っています。
また、フランスの民放「M6」では、10年ほど前まで経営陣は4人全員が男性でしたが、今では経営陣5人のうち2人が女性です。

しかし、フランスのメディア業界も最初から平等だったわけではありません。

PFDM「メディアの女性のために」のフランソワーズ・マルケッティ共同代表は、活動を始めた2012年当時について「変えなければいけないと感じていましたが、どうすればいいかわかりませんでした」と振り返ります。

当時の活動といえば、意見交換をする程度。
しかし、2017年に転機が訪れます。

アメリカ映画界のセクハラ問題に端を発した「Me Too運動」です。

PFDM共同代表 フランソワーズ・マルケッティ氏:
フランスでは、Me Too運動で全てが変わったと思います。あらゆる業種で女性たちの団体ができました。

2019年には、セクハラや性差別に反対する宣言を発表。
理念に賛同したメディア約80社が調印しました。

そして、メディアで働く人の多様性がもたらす可能性について、マルケッティさんは「もっと時代に合わせた平等で公正な組織になれば、(テレビ離れした)若者が戻ってくるかもしれません」と強調します。

フジテレビは、オールドボーイズクラブから脱却できるのでしょうか。
変革への模索は始まっています。

青井実キャスター:
海外の放送局は進んで行われているということですけれども、ただ、海外はやっていけるからではなくて、メディアという仕事は時代の先端というものをお伝えしている役割を担っていますので、自ら意思決定を行って変わっていかないといけないなと改めて思います。

宮司愛海キャスター:
そのためにも開かれた経営というものが大切なわけですが、中には登用する女性の数がそもそも少ないという声もあるわけです。今回、お話を伺った民放労連の方は、例えば取締役であれば経営のスキルを持った女性を一時的にでも外部から招へいする方法もあるとおっしゃっていました。このようにさまざまな方法があるわけですから、これを機に、開かれた経営というのを実現すべきだと感じました。

青井実キャスター:
そうやって女性を経営層に。こうやって開かれていくことは大切ですよね。

宮司愛海キャスター:
ただ、それだけでは十分ではないわけですよね。例えば、フジテレビでも育休から帰ってきたら同期から後れを取っていたという話も聞きます。ですので、男女の環境格差を改善していくこと、それから女性含めて人材をしっかり育成していくこと。この両輪でしっかり考えていかなければならないと感じました。