障がいのある人が働く福祉事業所では、どんな仕事をしているのかが、あまり知られていない。障がいのある人の働き口を広げようと福祉事業所と企業とのマッチング商談会が、広島市内で開かれた。
働き口を増やし「工賃」アップを
広島県が開催した企業と福祉事業所をつなぐ商談会には、県内の企業7社と福祉事業所35施設が参加した。

福祉事業所には、働き手が受ける「工賃」を上げたいという声が多い。

アイラブ作業所の石飛由香里さんは「なかなか工賃が物価高に合わせて上がっていくのは難しいと感じる」と語る。
物価の高騰が続く中、福祉事業所で作業した人の報酬となる工賃は、雇用契約を結ばない「就労継続支援B型事業所」の場合、令和5年度の平均月額は23,053 円。仕事内容は、パンやクッキーづくり、喫茶店での調理・接客、刺しゅうなど手工芸、農作業などだ。
マッチング商談会は企業7社に対して福祉事業所の数は5倍の35施設。

このアンバランスな現状を広島県就労振興センターの舛元好則さんは「福祉事業所の働き手が、どんな仕事ができるのかについて、企業の理解や認知が不足している」と指摘する。
農園では袋詰めなどを事業所に委託
社会への理解が広まらない一方で、人手不足の中、障がいのある働き手が重要な戦力になっている企業もある。

広島市安佐北区にある今津農園では6年前から、3つの福祉事業所に農作物の袋詰めなどの作業を委託している。
農業には人の手に頼らないとできない作業があり、この農園では福祉事業所だけでなく、外国人労働者の手も借りている。

今津農園 園主の今津壮生さんは「本当に戦力としてありがたい。事業所の人たちの力を借りてやっているという感じ」と人手不足の中で、事業所の働き手らで農園が成り立っていると語る。

障害のある人たちと一緒に働くうえで、今津さんは、仕事内容のわかりやすいマニュアルを作り、労働環境の改善に努めてきたという。
福祉事業所に依頼できる仕事はいろいろある
福祉事業所の仕事はイメージがわきにくいかもしれないが、農園のように、現場に行って作業をする働き方もある。人手不足の中、企業側から見れば、まだまだ依頼できる仕事はありそうだ。

商談会に企業側として参加した宮本美沙さんは「直接支援者に聞いてみないと分からないことがたくさんあると思った」と依頼できる仕事探しに手ごたえを感じたようだった。

また、広島県就労振興センターの舛元好則さんは「福祉事業所がどんな仕事ができるかをアピールして、こういう場でお互いがマッチングしてもらえれば」と今後に期待をかける。
人手不足の中、企業側が仕事内容を見直し、福祉事業所に任せることができる部分を切り出せれば、障がいのある人の働き口の増加につながることになる。
(テレビ新広島)