「たとえば『不定詞』は、これから説明部分のサポート情報が加わりますよ、というサインとして使われます。You are here to meet people は、You are here に『toをサインにして加わったパーツ』が to meet people だと読み取るわけです。つまり、You are here + to enjoy life で『パーツの組み合わせ』となっているのです」
松延さんの書籍には、この「英文の仕組み」と「サポートパーツのサイン」を丁寧に説明している。
たとえば、先の英文では次のようにパーツごとに「英文を見る」ことができるようになる。

You are here → メインパーツの主語・動詞
to meet people → to (不定詞) によるサポートパーツ
who enjoy life → who (関係詞) によるサポートパーツ
with you. → with (前置詞) によるサポートパーツ
すなわち
You are here + to meet people + who enjoy life + with you.
と読み取ることができるようになる。
大人は「暗記学習からの脱出」を
英文の根本的な理解は、文章読解時だけでなく、英会話やリスニングにも有効だという。
「英語はすべてこのシンプルな仕組みで成り立っているため、英会話やリスニング、筆記にも応用することができます。英会話と筆記は、自分の話したい事柄をメインパーツとサポートパーツを使って説明することを意識するだけで、言いたいことがまとまりやすくなります。リスニングも、話している内容のどこが重要な部分で、どこが補足的な部分かを区別することで、大意が理解しやすくなるでしょう。英語の仕組みは、一度学んでしまえば、つねに応用が可能です」
とはいえ、単語の暗記から離れることも不安だ。松延さんおすすめのテキストを教えてもらった。
「英語で書かれた児童向け絵本や漫画がおすすめです。例えば『THE PEANUTS シリーズ』は、英語学習の取り掛かりにうってつけです。漫画は絵をヒントに状況と英語をリンクさせて理解しやすくなりますし、日常生活レベルの表現が満載なので、基本的なボキャブラリーの構築にも大いに役立ちます」
「大人の英語学習の醍醐味は、『テスト対策はしなくていい』ことです。『まずは英単語の暗記』から離れ、英語をざっと理解する体験を繰り返すことで、理解度がガラッと変わったと実感できると思います。英語学習は、本来、チカラを抜いて“子どもが習得するイメージ”をまずは持つこと、そしてそこに“大人としての理解”を少々加えることのコラボレーションでうまくいくのです」

取材・文:遠山怜
イラスト:さいとうひさし