新築マンションの価格動向で、2024年、福岡市の上昇率が全国トップとなった。福岡市の新築マンション平均価格は、5598万円と前の年から1600万円ほど上昇。急激な値上がりの背景とは…。

都心部に高額マンション続々誕生

福岡市中央区の「赤坂大手門エリア」。旧福岡城跡や市民の憩いの場である大濠公園にも近い自然環境と利便性を兼ね備えた福岡市を代表する1等地だ。今、このエリアで高級マンションの建設ラッシュが進んいる。

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その1つが「ザ・パークハウス大手門」。福岡地下鉄の赤坂駅から徒歩6分、中央区大手門の昭和通り沿いに建設中の分譲マンションだ。大手の三菱地所レジデンスが手掛ける地下1階、地上19階建ての「ザ・パークハウス」シリーズの最新物件で、2026年夏の完成を予定している。

三菱地所レジデンスの矢島優里さんが、14階の3LDK・74平方メートルの物件を案内してくれた。スマホアプリで電気・エアコンの一括制御が可能となっていて、ファミリー向けとして最近では一般的な広さだという。

気になる価格を聞くと「1億798万円です」と矢島さんが笑顔で答える。売れ行きは好調で、抽選になる住戸もあるという。

3月に入り発表された新築マンションの価格動向。2024年、福岡市の新築マンション平均価格は、5598万円で、前の年から1600万円ほどアップしている。上昇率にすると40%を超えていて、上昇幅は、主要都市で全国1位となった。最近の急激なマンション価格高騰に一般の福岡市民からは、「高すぎて手が出ない、現実的でない」などといった声が多く聞かれた。もはや憧れですらない“別世界のもの”になってしまったようだ。

「8億でも10億でも」平均押し上げ

なぜ、福岡市のマンションは、これほど価格が急騰しているのか?福岡のマンション事情に詳しい不動産鑑定士の渡邉悟さんは、「都心部の高額物件が多数供給されたことが大きい」と話す。「『ザ・パークハウス』」くらいの物件になると、2億とか3億ぐらいの物件価格が当たり前になっているので、平均価格をグっと押し上げている」というのだ。

平均価格を押し上げている物件が、他にも目白押しだ。「ザ・パークハウス」から徒歩2分。舞鶴公園のお堀が見える「明治通り」沿いには、2026年末に完成する「グランドメゾン福岡鴻臚館前」の工事が進んでいる。

福岡で圧倒的な人気を誇る積水ハウスの高級シリーズが、福岡の超1等地に27階建てのタワーマンションとしてお目見えすることになる。

価格は、「1番高い部屋は、6億円を超えていると聞いている」と話す渡辺さん。「福岡史上最高値」とも言われる6億円超えのマンション、“6億ション”の物件も既に完売しているというから驚きだ。

一体、どんな人が買っているのか?鑑定士の渡辺さん曰く、「5億円を超える物件は、富裕層にとって、住むというよりは、絵画とか骨董品の世界に入っているので、コンセプトが気に入ったら買うということになる。8億でも10億でも良いという世界」とのことだ。

更に、福岡市中央区赤坂エリアでは、「ザ・パークハウス」「グランドメゾン」に続いて、すぐ側にイギリスの高級ホテル「インターコンチネンタル」の入る高層ビルが建設中だ。その10階から23階が、高級マンションとなる予定で、不動産業界では大きな注目を集めているという。

新築マンションを巡っては、建築費の高騰や円安による海外投資家の参入拡大など、価格高騰の要因は様々だが、福岡市中心部の売り出し価格は、更なる値上がりが予想されている。

(テレビ西日本)

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