メルカリが格安スマホ事業「メルカリモバイル」を開始した。アプリで簡単に利用可能な上に、余ったギガを売買できる日本初のサービスを導入。個人間売買のプラットフォームが前提のため、既存のMVNO事業者が容易に真似できない独自のビジネスモデルだと専門家は評価している。
日本初「ギガ売買サービス」で新たな市場を
メルカリが「格安スマホ」に参入した。ユーザー同士でギガの売買もできる。

メルカリ MVNO事業責任者 永沢岳志執行役員:
今回開始する新サービスは、メルカリモバイルです。
4日、フリマアプリを運営する「メルカリ」は、NTTドコモの回線を借りて展開する格安スマホ事業を開始した。

メルカリのアプリから申し込みと支払いを簡単に行うことができるため、月間2300万人の利用者がいるメルカリユーザーを取り込むだけではなく、キャリアの乗り換えをしたことがない人もターゲットになる。
さらに、メルカリ MVNO事業責任者の永沢岳志執行役員は、こう話す。

メルカリ MVNO事業責任者 永沢岳志執行役員:
メルカリで(物を)売り・買いできるようにギガについても売り・買いできれば面白いのではないか。

余ったギガを売り買いできる日本初のサービスをスタートした。

「売る」のボタンを押して、売りたいギガ数を選び、販売価格を入力し、出品ボタンを押すと、あっという間に出品することができる。

メルカリのアプリから、余ったデータ通信量を1GB200円から出品が可能で、売り上げ金は、メルカリやメルペイで使うことができる。ギガが足りない場合は、メルカリから購入し、すぐに利用することができる。
メルカリは、フリマやクレジットカードなど、現在提供している他のサービスと連携させ、スマホの乗り換え需要を取り込むと共に、「メルカリ経済圏」の拡大を狙う。

メルカリ MVNO事業責任者 永沢岳志執行役員:
お客さんが自然な形で使っていくと便利になっていくというのが考えたいところ。(メルカリのサービスを)たくさん使っている方にお得になるというプランと、体験を1アプリの中で、どういう風につなげていくかというところを特に強化していきたい。
他社の追随「個人間売買のプラットフォーム」次第か
「Live News α」では、暮らしを変えるテクノロジーに詳しいIoT NEWS代表の小泉耕二さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
ギガが余った人が、足りない人に売ることができる新しいサービス、どうご覧になっていますか。

IoT NEWS代表 小泉耕二さん:
分かりやすい消費者メリットがあり、事業を行うメルカリも10%の手数料収入が得られる秀逸なビジネスモデルだと感じました。これは案外、他社が真似しづらいところは興味深いです。
堤キャスター:
それは、どういうことでしょうか。
IoT NEWS代表 小泉耕二さん:
これは個人間売買のプラットフォームありきのサービスだということです。
大手キャリアから通信回線を借りてモバイル事業を行っている既存のMVNO事業者からすると、個人間売買のプラットフォームを持っていないため追随するのは難しいように思います。
可能性としては、Yahoo!フリマのような個人間売買サービスをやっている事業者は、同じビジネスモデルでの展開を考えるかもしれません。ギガの売買に魅力を感じる消費者が増えると、市場の構成が大きく変わる可能性があると思います。
ギガ売買でMVNO市場に変革と淘汰の可能性
堤キャスター:
具体的には、どんな影響があるのでしょうか。

IoT NEWS代表 小泉耕二さん:
他のMVNO事業者からすると、これまでは、ギガが余っても、不足してもそのまま収益増につながっていましたが、ここの部分が減少する可能性があります。
今後は例えば、楽天モバイルがポイント還元と合わせたギガの売買プラットフォームを作ったり、利用者が一定の手数料を払うことで、通信キャリアにギガを売ることができるプラットフォームが登場したり、ギガを資産と見立てた取り組みが登場する可能性が見えてきました。
堤キャスター:
私たち消費者からすると、新しいサービスの登場などは歓迎したいですよね。
IoT NEWS代表 小泉耕二さん:
MVNO事業は参入障壁が低めなため、新規の参入や、さまざまなビジネスモデルが新たに提案されるはずです。
ただ、海外を見ると、基本料金が無料のサービスなど、多様なビジネスが登場したのですが、現実的でないサービスは淘汰(とうた)されたり、買収の対象となったりしています。
今後は、単純な通信サービスだけを提供しているMVNO事業者は、淘汰(とうた)されるかもしれません。その先では、通信サービスを携えた経済圏に、消費者を取り込む競争が激化していきそうです。
堤キャスター:
余っているものを売って欲しい人が買うサービスが、スマホのギガにまで広がりました。メルカリの事業が私たちの暮らしにもっと寄り添っていく、そんな印象を受けました。
(「Live News α」3月4日放送分より)