2024年のプロ野球、パ・リーグMVPに選ばれた福岡ソフトバンクホークスの近藤健介選手(31)。春季宮崎キャンプは『S組』としてスタート。2月前半は、1人で自主トレ地の鹿児島・徳之島で練習し、2月中旬に宮崎の全体練習に合流した。
懸念される右足首のケガ 回復は?
1人っきりの練習で寂しさは?「いや、それはないですね。他のS組メンバーが何をしているのかは気になりましたけど。ケガをした自分の足の感じをみながら、強度を上げたり落としたりってできたので、いい時間を過ごさせて頂いた」

昨シーズン終盤に右足首を痛め、リーグ優勝時には松葉杖で登場。しかし、その1カ月後、ケガを押してポストシーズンに出場した。

その強行出場は、完全復帰が遅れる選択ともいえた。その影響はあるのか?「機能的には分からないけれど、もう自分のなかで“怖さ”はなく、これから実戦にも入れる感じもあるので、いまのところは何も問題なく動けていると思う」

担当記者が気になったのは、或る選手の記憶。2013年に首位打者となった長谷川勇也氏(現リサーチ&ディベロップメント担当)だ。

長谷川氏は首位打者の翌年、右足首を負傷し、それが原因で、その後フル出場が困難となった。その姿と近藤選手の現状が重なったのだ。
「今後の野球人生を考えて…」
「ケガしたときに長谷川さんから電話を貰いました。また小久保監督からも、長谷川さんのことを例に出して連絡を受けました。『今後の野球人生に響いてはいけないから、そこ(試合出場)は本当に自分で判断してくれ』って。『無理だけは絶対するな』と」

「ケガからクライマックスシリーズ開幕まで1ヶ月あったので、なんとかその1ヶ月で…」と当時を振り返る。気持ちも後押しされ、早い復帰を果たすことができたのだ。

その結果はクライマックスシリーズで打率5割超え、3打点とチームを牽引。さらに日本シリーズでも打率3割8分5倫と異次元の活躍を見せたが、むしろこれからのケアの方が大切だ。

「今後、まだまだ機能の部分では、怖さはないですけど、どうしても庇ってしまうとか、自然の動きのなかであると思うので、左右しっかり対称に、力が出るようにとは思っている」
左翼から右翼へ 増える守備の負担
今シーズン、守備位置はライトへのコンバートが決まっている。守備に「不安はない」とはいうが、昨シーズンまで守っていたレフトよりも負担が増えるのは確実だ。

「守れるだけ守りたいなと思います。ギーさん(柳田悠岐選手=チーム最年長の36歳)の負担を減らす意味でのコンバートなので、僕が疲れてDH(指名打者)に座っては意味がないので。ケガせず、健康であれば、守れるだけ守りたいと思います。だからこそ、右足。やっぱり143試合出たいと思うと疲れが溜まってきて、右足を庇い出して、他のところのケガもあるので、まずは気にならないくらいまでいきたい」としっかり守って全試合出場することに意欲を見せた。

そして何よりも期待されるのが、小久保監督も「レベルが違う」と絶賛するバッティングだ。昨シーズン、リーグ唯一の3割打者としてMVPに輝いた打撃の天才は、いかにして数字を残すのか?
今季の目標 打率3割 出塁率4割
「エース級の投手は、どの年代もすごいピッチャーいましたけど、その枚数(人数)が増えてきたと感じる。いかに好不調の波なく、1日1本(打つこと)、それが大事なのかな。1日3本打てる日なんか稀ですし『きょう3本打っておきたいな』といえるピッチャーなんていないんで。それこそ3打数0安打でも、1個のフォアボールはかなりでかいと思いますし、そこですかね」

本人の目標は打率3割、出塁率4割。「そうですね、そこは目標というか、そこ有りきでホークスに来たと思っているので、そこは、やらないといけない。まずはそこをしっかりクリアして、後は長打、ベースを上げていきたい」

現役最強打者の呼び声が高い近藤選手。狙いたいタイトルは?「出塁率ですかね。そこは何年経っても変わらないかと思います。まあ、でも当然、ホームランとか打点とか欲しいですけど…、山川さん(山川穂高選手)とか見ると無理だなあって思うので…。目の前で…、すげーなーって思うんで」

昨シーズン、山川選手が調子を落としていた一時期、本塁打数で並んだことがあるが?「もう全然。(山川選手に)火ついたら、あっという間に抜かれると思っていたので、そこはもう、おこがましいですね。山川さんと本塁打争いしたいっていうのは(笑)」

開幕間近となったプロ野球。今シーズン、現役最強打者は、どんな活躍を見せてくれるのか?近藤選手から目が離せない。
(テレビ西日本)