リンゴの有機栽培に取り組む山形・真室川町の男性が、国内初のJAS認証を受けたリンゴ原料の醸造酒・シードル造りを始めた。「甚五右ヱ門芋」の栽培農家でもある男性の、食へのこだわりが酒造りに生かされる。
“リンゴ自体の力”を引き出す
2月中旬に始まった「有機シードル」の仕込み作業に佐藤春樹さん(43)の胸は高鳴っていた。

佐藤春樹さん:
リンゴの仕事をじいちゃん・ばあちゃんから引き継いでから、目標としていた仕事が酒造りだったので、不安もあるけど楽しいことをやれている。楽しさの方が上回っている感じ。

粘りととろみが自慢の、一子相伝の伝承野菜「甚五右ヱ門芋」。その継承者でもある佐藤さんがリンゴに関わるようになったのは8年前。
リンゴ園を営んでいた母方の祖父が亡くなり、佐藤さんは植物に本来備わっている生命力「有機の力」をリンゴ栽培にも生かせないかと模索を始めた。

佐藤春樹さん:
芋を継承した時も、お客さんに喜んでもらうにはどうしたら良いかを常に考えていた。農薬を使って守るようなことはしないで、“リンゴ自体の力”を引き出して、JAS有機認証を取得したシードルを販売しようと。
「幸せの連鎖」が続くように
祖父の夢でもあった「リンゴ酒」造り。その遺志を継ぎ、佐藤さんは2023年に宮城のワイナリーに委託して酒造りを始めたが、「自らの手で造りたい」と一念発起。
2024年12月、醸造免許とJAS認証の両方を取得し、祖父の家を改築して自前のワイナリーを整備した。そして、国内初の「JAS認証・有機シードル」造りに没頭してきた。

佐藤春樹さん:
酒はみんなワクワクする。リンゴのポテンシャルを信じて地域初の果実酒としてみなさんに飲んでもらい、愛される存在になれば良い。
祖父のリンゴ園「荒井りんごや」は、「リンゴリらっぱ」に改名。「幸せの連鎖」がしりとりのように続くよう願いを込めた。

甚五右ヱ門芋から学んだ植物の生命力を生かす農業。佐藤さんは、それをリンゴ栽培でも実践し、おいしさを消費者に届ける。JAS認証の新庄産「有機シードル」は、ゴールデンウィーク前の4月下旬に発売される。
(さくらんぼテレビ)