静岡市清水区に「アクセス困難」と言われながら、多くの人が新鮮な海の幸を求めて訪れる人気店がある。地図上では簡単に見つかり、駅近なのだが、実際に行くとなると一筋縄ではいかない。その名も「ヤマボシ水産」だ。
「永遠に店に着きません」口コミの謎
調査を開始する前に、SNSなどの口コミを確認してみた。

すると「アクセスが複雑」「お店に行くだけで探検気分」など、少々不安になる投稿が。
そして極めつけは「気を付けてください。永遠に着きません」。どういうことなのだろうか。
東海道線のJR由比駅から歩いてすぐの場所で探してみると、線路の向こう側に「ヤマボシ水産」という赤い看板をすぐ発見した。

ほんの目と鼻の先に見えるが、線路を挟んでいるため行けない。向こう側に行こうとしても、駅の改札は店と反対側の1カ所しかないのだ。踏切も近くにはない。
地図では、店は国道1号線バイパス沿いにあるように見える。しかし実際は、車で走っても店の裏側を通り過ぎるだけで、店に入ることはできない。

一体どうすれば店にたどり着けるのだろうか。
小さなトンネルを歩いて行ける!
地元に詳しい人を探して、漁港へ。そこにいた人に聞いてみると「そこにあるよ」と、こともなげに教えてくれた。
由比港にいた人:
津波避難タワーの手前に小さいトンネルがある。200歩も歩いていけば着くよ

どうやら、由比港から店につながるトンネルがあるようだ。
教えられた場所に向かうと、確かに小さなトンネルを発見。かたわらには「ヤマボシ水産」の赤い看板が立っていた。

うす暗く狭いトンネルをくぐると、線路のすぐ南側に出た。線路の反対には、さきほどまでいた由比駅が見える。
まさかトンネルをくぐるとは! ようやくヤマボシ水産にたどり着いたのだ。

わかりにくい場所になってしまった理由
店に着くまで、かなり迷ってしまった。
ヤマボシ水産・望月宏美さん:
申し訳ありません。初めてのお客様は、ほとんどの方がたどり着けません
2016年にオープンしたヤマボシ水産は、もとは干ものの加工場だった。その建物を改装して店を始めたため、少し見つけづらい場所になってしまったそうだ。
ちなみに漁港から線路沿いに抜けるトンネルはもう1本あって、店まで車で行くこともできる。

仲買人の両親が支える鮮度抜群の魚介類
店内でまず目につくのは、種類が豊富なお刺身だ。
ヤマボシ水産・望月宏美さん:
父と母が鮮魚の仲買人をしておりまして、毎朝セリで落としてきてもらいます

その日に水揚げされた新鮮な魚がすぐに店頭に並ぶのが、ヤマボシ水産の魅力だ。
さらに、店に入った瞬間から漂う良い香りの正体は、豊富な種類の総菜。毎日30種類から40種類もの総菜を作っているそうだ。
人気食材の共演「桜エビ太刀天丼」は500円と驚きのお値段。

由比名物・サクラエビのかき揚げ、新鮮な地魚を使った「海鮮丼(680円)」など、もう目移りしてしまう。
今朝とれたブリのぜいたく海鮮丼
ここはやっぱり、一番人気の「海鮮丼」をチョイス。

ひと口ほおばると、思わず「スゴい!」と言ってしまうおいしさ。とれたてのブリは脂が乗っていて、口の中でとろける。
そのほか、その日によって異なる6種類ほどの新鮮な魚介を盛り付けている。なんとも、ぜいたくだ。
常連さんの買い物調査
そんなヤマボシ水産は地元の人たちにも大人気だ。買い物に来た人たちのお目当ての品を教えてもらった。
◆豪華なお刺身盛り合わせ
ある常連さんは、豪華なお刺身盛り合わせ(1500円)をゲット。
地元の常連:
スーパーで買うよりもお値段が安くて新鮮なところが魅力です

その日の水揚げにより店に並ぶ魚が変わるのも、仲買人のお店ならでは。
◆長い! タチウオのフライ
大きなレジ袋を抱えた男性客。その中身を見せてもらうと、大ぶりのタチウオのフライが2つも入っていた。
地元の常連:
やっぱり地のものなので、その日何が揚がるか楽しみです
お店のインスタをチェックして、お目当てのものを購入しているとか。なかなかの通だ。

◆倉沢のアジ
これからの季節におすすめなのは「倉沢のアジ」だ。
ヤマボシ水産・望月宏美さん:
みなさんアジが食べたくて、ここまでわざわざ来てくれます
「倉沢のアジ」は由比で水揚げされる、脂ノリのよいブランドアジのことである。

「たどり着けなくて申し訳ない」
季節がめぐるごとに、また違ったメニューが楽しめそうなヤマボシ水産だが、最初のアクセスだけがちょっと心配だ。
ヤマボシ水産・望月宏美さん:
なかなかたどり着けなくて申し訳ないですが、お待ちしております

いやいや、苦労しても絶対行く価値アリ。一度来たら“とりこ”になること間違いなし、最初は大変だが、ぜひあきらめずにトライしてみてほしい。
■店名 ヤマボシ水産
■住所 静岡市清水区由比今宿1043-1
■営業時間 11:00~商品が無くなり次第閉店
■定休 日・月・水・木
■問合せ 054-375-5677
(テレビ静岡)