衆議院予算委員会の安住委員長は27日、旧安倍派の会計責任者・松本淳一郞氏からの参考人聴取を終えて記者会見し、松本氏が、キックバック再開を求めてきた派閥幹部は現在議員ではないとし、派閥幹部が国会でキックバック再開への関与を否定したことについては「不思議なことだ」と証言したことなど、聴取の全容を明らかにした。
松本氏は、安倍派のパーティー券をノルマを超えて売った議員へのキックバックについて、2022年4月に当時の会長だった安倍元首相がキックバック中止を決めた後、8月にキックバック再開が決まったとされる幹部会合(塩谷元文科相、下村文科相、西村元経産相、世耕元経産相の4人が出席)に、派閥の会計責任者・事務局長として同席していた。
安住氏が明らかにした聴取の概要は次の通り。
(Q.キックバック分の不記載指示について)
私自身は不記載の指示をしたつもりはない。具体的に誰かに伝えた記憶はないが、私が事務局長として就任する前から、議員はそれまでのやり方を踏襲し、慣例として行われていた。新人議員には、議員か秘書にこういうやり方を行っていると教えた。
(Q.キックバックは不記載はいつからか。20年前から行われていたか)
前任の事務局長から、こういうやり方をやっていると伺っていた。いつからやっているかと聞いても分からないと言われた。(20年以上前からという)可能性はあったかもしれません。
(Q.安倍元首相の指示でキックバックが中止になり、その後再開された経緯について)
いったん中止となったことは事実。私は事務局であり方針決定する権限はないが、会議ではオーバー分を返して欲しいという議員もいて、ただ4月にやめようということになり、幹部から各議員に伝えた。いずれにしても返すのもやむを得ないという結果になった。
(Q.キックバック再開を求めた幹部とは)
本来ならご自身が話すべきだ。名前は差し控える。現職の議員ではない。
(Q.キックバック再開をなぜ止められなかったか)
8月の会議で、これまでのやり方を引き継ぐことになった。どうやってもおかしいと思い、私はおかしいと申し上げた。
(Q.再開はおかしいと進言した時期は)
安倍元首相が亡くなる前だった。
(Q.8月の会議でキックバック再開は決まっていないという安倍派幹部の証言については虚偽か)
わからない。方向性を決めた会議だったと認識。幹部で臨んでいた人がいるので返しましょうとなった。塩谷氏はやむなしと言っていたと法廷でも申し上げた。
(Q.改選を控える参院議員は全額を不記載とした理由)
私の指示ではない。根拠がない。安倍派のこれまでのやり方を踏襲しただけと認識。2019年の就任時にはそうなっていたが、ただしノルマはなくかった。販売分はすべて議員に帰属すると思っていた。
(Q.松本氏以外に責任をとるべき人はいるか)
私が責任をとるのは当然。会計の責任の問題は全て私にある。
(Q.現在の心境は)
一連の件は個人としてはどうしようもなかった。違法行為をしている認識はなかった。大いに責任を痛感している。
(Q.キックバック(還流)を再開する時期の印象)
やらざるを得ない状況でした。
還流を希望する議員がいる。還付もやむを得ないということになった。すでにパーティー券を販売している先生方もいまたし、やむを得ずという認識だった。
(Q.キックバックを進言したか)
していない。幹部が決めることと言う認識。
(Q.4人の幹部の間の意見の対立は)
対立はなかったと認識している。
(Q.4人全員が再開に賛成したのか)
積極的ではないが全員そういう印象だったと思う。塩谷氏はやむなしと言われた
(Q.安倍派幹部が政倫審でキックバック再開を「知らない」と関与を否定した証言について)
不思議なことだと思った。それぞれ先生の責任で話していることだから関知できない。
(Q.今回の参考人聴取について安倍派の議員から圧力は)
圧力はなかった。