悩んでいる人は高齢者だけではない。20歳以上の女性で半数以上が経験しているという「尿漏れ」。

一体なぜ尿漏れは起こるのか。そして、対策はあるのだろうか。

■【動画で見る】他人ごとじゃない「尿漏れ」年齢性別は関係なし 対策商品は年々増加

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20日の大阪市内の最低気温は1.2度。そんなさむ~い冬の時期、みなさんが気になるのが、頻尿や尿漏れなどの「尿トラブル」だ。

70代:足も冷えるし、トイレは近いですよ。
70代:(夜に)起きちゃったりします。おしっこ、近い、近い。

■2月20日は「尿漏れ克服の日」

70代:長く外行くときは(尿漏れシート)を引いている。咳、この間も咳いっぱい出たから、その時は(出た)。

 

30代:妊娠中はお腹大きいから圧迫されて(尿漏れ)があった。シートみたいなのつけたりとかしてました。

30代:残尿感みたいな、残ってるのはたまにありますね、もう一回行くみたいな。

2月20日は「尿漏れ克服の日」だが、尿漏れに悩んでいる人は多いのだろうか?

■尿漏れで一番多い「腹圧性尿失禁」 手術で回復も

この日、病院を訪れたのは60代のAさん。 4年ほど前から尿漏れに悩んでいた。

Aさん:孫を追いかけて急に走り出したときに、ほろほろって尿漏れが始まりました。友達と大笑いするとほろほろっと出ちゃう。不快ですし、アッと思ってもニコニコしてますけれど。

尿漏れで一番多いのが「腹圧性尿失禁」。 臓器を抑える筋肉が緩み、腹部に圧がかかった際に尿漏れが起きる。

第一東和会病院 竹山政美先生:骨盤底の組織が緩んでしまって、尿道がぐらぐらと動くというのが原因になっているのが多い。いきなりですよね、最初はね。

Aさんも「腹圧性尿失禁」で去年12月に手術を受けた。今は、尿漏れはなくなった。

Aさん:やっぱり尿漏れパッドしないで済むっていうのはすごく爽快です。

■高齢者だけではなく…「30代から悩んだ」人も

高齢者のイメージがある尿漏れ。 しかし、取材を進めると年齢に限らない悩みであることがわかってきた。

京都府に住む芝池恵美子さん。

芝池恵美子さん:これですね…この水の流れ。この感じですね。これでトイレ行きたくなって。

芝池さんの体に変化が起きたのは30代のころ。子宮などの臓器が下がり、体の外に出てしまう骨盤臓器脱になり、その後、頻尿や尿漏れに。 きっかけは出産だった。

芝池恵美子さん:3日がかりの難産やったんですよ。なのに産後の養生っていうのは一切しなかったんですね。それが後になって響いてきて、産後1ヶ月になったときに急に(臓器が)ずどーんって出てきて。何かこうドア開けた瞬間とかにちょっと何か力入れたんかな、その時に漏れる。

■「20代以上の女性 半数以上が尿漏れ経験」も…

実はある調査では、20代以上の女性の半数以上が尿漏れを経験。 年代別にみると、どの年代でも6割前後が経験しているという結果もある。

しかし、そのうちおよそ6割が誰にも相談したことがなく、なかなか人に言えないのが現状。 芝池さんも家族にはあまり相談できなかった。

芝池恵美子さん:まだ若いのに、トイレ行ったのに30分後にもう1回いきたい。こんなことなってる人少ないやろなあって、私ぐらいやろうなあって思ってましたね。

■「尿漏れ対策商品」は年々増加「男性用ケア商品市場」急拡大

年齢に関係なく、誰にでも起こりうる尿漏れ。 対策のための商品も年々増えている。

記者リポート:尿漏れケア、奥までずらりと並んでいます。

薬局をのぞいてみると、尿漏れパッドやおむつなど、100種類ほどの商品がずらり。 なかには男性用の商品も。実は、男性用のケア商品の市場は、10年前に比べ、およそ9倍も拡大している。

ユニ・チャーム株式会社 Love Your Possibilities広報部 伊藤元彦さん:男性でも年代によりますけど、5人に1人が月に1回尿漏れの症状に悩んでいる。実は結構ティッシュで対処してしまっている人ですとか、或いは女性用の生理用品を使って対処している人というのが、我々の調査の中でどんどん浮き彫りになってきた。

■偶然の産物から生まれた「流せる尿漏れパッド」製品化へ

ケア商品の需要が高まる中、日本初!となる「尿漏れパッド」の製品化を目指す企業が関西にあった。

化学品メーカー「ナガセケムテックス」の研究室。 容器に入っているこの粉が、新たに開発した「吸収剤」だそうで、どんな機能なのか見せてもらった。

尿を表す青い水を「吸水剤」にかけると、次第に固まりゲル状に…

ナガセケムテックス製品開発部 永野豊浩さん:ほぼ吸水しました。

そして固まったあとに特殊な「薬剤」をかけると、あっという間に液体になった。

この新たに開発した「吸水剤」をパッドに含ませ、特殊な「薬剤」と合わせることで、日本初の“トイレに流せる尿漏れパッド”の製品化を目指している。

ナガセケムテックス製品開発部 玉腰英明部長:水に溶けるのは偶然の産物でして、もともと吸水剤の開発に動いてはいたんですけれども、これはトイレに流せる用途に使えるんではないかと。

製品化が実現すると、ごみを減らし環境に優しいことに加え、こんなメリットも…

ナガセケムテックス製品開発部 玉腰英明部長:男性用トイレには基本的にサニタリーボックスがありませんので、外出先で使用した際、持ち帰らなければいけないという課題がありましたので、それに対応できるというのも一つのポイントだと考えています。

紙おむつを取り扱う企業との共同開発で、2年後には製品化し、販売を目指すということだ。

■「8割」が治療でコントロールできる「尿漏れ」

放置すると、腎機能が低下するなどリスクもあるという尿漏れ。

医師は早めの受診を呼び掛けている。

第一東和会病院 竹山政美先生:8割ぐらいは(治療で)きちんとコントロールできるようになるのが尿漏れ。心の問題になってくるからね。尿漏れしていると、引きこもりになったり色んなことになるので。

悩ましい尿漏れ。放っておくのは禁物だ。

■『尿漏れ』チェックリスト「おかしいな」と思ったら相談を

女性は出産で尿漏れになることも多いということだ。

ただ年齢・性別関係なく誰でも起こり得るので、恥ずかしいことではない。

「尿漏れ予備軍。こんな人は要注意」チェックリストを見ていく(※「ひまわり会」HPより作成)。

トイレの場面で…
・尿意がなくても念のためトイレに行く
・お腹に力を入れて尿を出すくせがある
・便秘がちで排便時にいきむ必要がある

生活の中で…
・20歳から体重が10キロほど増加している
・せき・くしゃみをすることが多い
・重いものを持ったり、立ち仕事が多い

以上のリストに当てはまるものが多い場合は注意が必要だということだ。

原因としては、内臓を支える筋肉(骨盤底筋)が衰えて、尿漏れのリスクが高まっているということだ。

また頻尿で悩んでいる男性も多いということで、尿漏れ予備軍になります。

関西テレビ 神崎博報道デスク:夜にトイレ行きたくなって目が覚めることがありますね。男性は外側の筋肉は鍛えたりしますが、なかなか体の内側の筋肉は鍛えにくいですよね。

ちょっと相談しにくいと思われるかもしれませんが、「おかしいな」ということがあれば、ぜひ病院に相談するようにいただきたい。

また女性の排尿障害・患者会「ひまわり会」による無料相談会が来月3月に予定されているので、気になることがある方はぜひご利用を。

■無料相談について■
女性の排尿障害 患者会「ひまわり会」
経験者が対応する「女性の尿漏れ・骨盤臓器脱 無料電話相談キャンペーン」
3月24日(月)から27日(木)13:30~16:00
連絡先:090-7493-2200、090-7340-2200
詳しくはひまわり会HPでご確認を。

(関西テレビ「newsランナー」 2025年2月20日放送)

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