日本一の深さを誇る湖「田沢湖」。秋田・仙北市にあるこの湖の魅力を発信しようと、湖のほとりで地域おこしに奮闘している男性がいる。湖の豊かさや素晴らしさを多くの人に伝えるためにサウナやカフェ経営に取り組む男性の思いを紹介する。

生活圏を豊かに、そして雇用も生む

水深423.4メートル、日本一の深さを誇る仙北市の田沢湖。

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美しい水色の湖を見ようと、多くの観光客が訪れている。

その田沢湖のほとりに、2024年4月に新たなスポット「coffee & gallery zawazawa(ざわざわ)」がオープンした。

店を開いたのは、仙北市田沢湖で生まれ育った八嶋誠さん(35)だ。

八嶋さんは、2019年まで東京の広告代理店に勤め、SNSなどを活用した企業マーケティングを行っていた。「地元・田沢湖を盛り上げたい」という思いから、秋田県の若者チャレンジ応援事業に応募。採択されたことをきっかけに2020年に古里に戻り、会社を立ち上げた。

八嶋さんは「自分の生活圏が豊かになるようなサービスづくりをしていて、そこに雇用も生むことによって若い人の活躍の場をつくろうと頑張っている」と話す。

湖畔のサウナに癒やしのカフェ

八嶋さんが最初に取り組んだのは、田沢湖を目の前にした絶景のロケーションで楽しむ「テントサウナ」だ。

冬は雪にダイブ!湖畔に設置されたテントサウナ
冬は雪にダイブ!湖畔に設置されたテントサウナ

夏は湖に、冬は雪にダイブ!大自然の中でサウナを堪能できる田沢湖での新たな体験を生み出した。

サウナの次はカフェ。カフェを開こうと考えたのは、サウナで提供しているコーヒーがきっかけだった。

カフェを開いた経緯について、八嶋さんは「角館の武家屋敷とか乳頭温泉郷とかたくさんある中で、田沢湖の湖畔周りに飲食店があまりない。私欲もちょっとあるが、田沢湖を見ながらおいしいコーヒーを飲みたいというのがきっかけ」と語った。

写真館だった空き家を地元の有志とともに改装し、1年かけてカフェを完成させた八嶋さん。店名の「zawazawa」は、田沢湖の「ざわ」と、人々が「ざわざわ」と集まり、まちが活気づくようにという思いから名付けた。

レトロな雰囲気が残るZAWAZAWAの店内
レトロな雰囲気が残るZAWAZAWAの店内

店内は写真館の面影が残るレトロな雰囲気。自家焙煎のコーヒーを作る部屋も元は映写室だった。

カフェでは自慢のコーヒーにぴったりな手作りのスコーンや、田沢湖の水色をイメージしたクラフトコーラが楽しめる。

写真ギャラリー
写真ギャラリー

店の一角には、県内で活躍する写真家が田沢湖の美しい景色を撮影した写真ギャラリーもあり、ゆったりとした時間を過ごすことができる。

「地元にいると田沢湖を見に来る機会が少ない。わざわざ行こうと思わないが、地元の人が年に3回もカフェに来て『田沢湖の美しさと豊かさに気付きました』という声を聞いたり、『気持ちが沈んでいたけどコーヒーを飲んでちょっと癒やされました』という声もあった」と八嶋さんは話す。

田沢湖がより映える場所づくりを

地元の人たちも田沢湖の魅力を再発見する場になっている「zawazawa」。この日は海外から訪れた観光客の姿もあった。

香港から訪れた観光客は「インターネットですごい高評価だったのでこの店に来ました。星4つだった。田沢湖はとてもきれい」と感激した様子だった。

サウナにカフェと挑戦してきた八嶋さん。「カフェとかサウナとか、この空間を通して田沢湖の豊かさやきれいさ、素晴らしさを伝えるのが役割だと思うので、地元の人にもそうだが、観光客にこの場所があることによって田沢湖がより良く映えるような場所にしていきたい」と意気込む。

これからも八嶋さんは、「湖の魅力を伝えたい」という誰にも負けない“田沢湖愛”で地域を盛り上げていく。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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