自民・公明・国民民主が19日、年収の壁見直し協議を2カ月ぶりに再開した。自民は年収200万円以下を対象に非課税枠を拡大するとしたが、これに対し、中間層が恩恵を受けないと批判が噴出した。国民民主は所得制限撤廃を申し入れ、物価に応じた控除の引き上げの法制化を求めた。
“年収200万円以下”の条件に批判の声
年収103万円を超えると所得税が生じる“年収の壁”の見直しを巡り、自民・公明・国民民主が協議を行った。この協議を巡っては、18日に自民党が示した案に多くの批判が上がっている。

19日のテーマは、「“壁”見直し自民案は“現役世代外し”?ソレってどうなの」だ。
18日、自民・公明・国民民主の三党による税制協議が2カ月ぶりに再開した。国民民主党の古川代表代行は、そこで自民党が示した案を批判した。
国民民主党・古川代表代行:
これだとほとんど中間層は恩恵を受けないので、インフレで苦しんでいる皆さんの生活を楽にすることにつながらない。

では自民党案を詳しく見てみる。
2024年の年末までの協議で政府・与党は、所得税が非課税となる枠を103万円から123万円に引き上げるとしていた。自民党は今回、その額を160万円程度にまで引き上げる案を示した。しかし、実は年収が200万円以下という条件がついていた。

他にも自民党案は、年収200万円から500万円の人は、2年間に限り2024年末の案から非課税枠を10万円増やす一方で、年収500万円を超える人は据え置くとしている。年収200万円で区切る自民党案に対し、国民民主党の玉木氏は、SNSで反発した。
国民民主党・玉木雄一郎氏(SNSより):
200万円相当の対象者は300万人で、所得税納税者数5500万人のうち約5%しか対象になりません。

年収200万円以下という条件で対象となるのは、主に年金で生活している高齢者やパートの人などだ。現役世代が置き去りになっているのではという批判が、SNSを中心に巻き起こっている。
街の現役世代にも「年収200万円で区切る案」をどう感じるか、話を聞いた。
40代:
普通に働いたら200万以上いくと思う。ほぼ意味がないというか、何のためにやっているのかよく分からない。労働力を増やしたいのか、適当に国民を騙そうとしているというか、あしらおうとしているのか分からない。もうちょっとちゃんと考えてほしいです。
40代:
困った人を助けるのは国の仕事。現役世代が支えるのは、僕はあるべき姿かなと思います。ただ国に不満が無いわけじゃない。「もうちょっとうまくやれよ」って感じです。分かりやすく、他の世代が納得するような説明責任、そこを果たしていかないと。
所得税納税者95%が対象外に…国民民主党が所得制限撤廃申し入れ
宮司愛海キャスター:
この200万円のライン、どう感じますか?

SPキャスターパックン:
所得税納税者の95%が対象外になりますが、物価が上がって生活が苦しい方は、この中間層も含めて多いです。救済策が欲しいと思います。でもせっかく30年ぶりの見直しなら、もっと根本的にやっていただきたいのが本音です。
宮司キャスター:
一方、高齢者の方からもこんな声が聞こえてきます。
70代:
私たちは優遇されてると思ってる。年齢的に70歳を超えているから、若者たちに感謝してますけどね。壁は全部取り払ってもいいと思ったりする時もあります、かわいそうだもんね。昔と経済が違うから、大変だと思う。
19日午前10時頃、税について詳しい国民民主党・古川代表代行は、次のように指摘した。
国民民主党・古川代表代行:
基礎控除は最低生活にかかる費用には税金をかけないもの。これはあまねく所得に関係なく関わりなく適用されるという、これが大原則です。その意味で、年収制限を設けるのは筋としておかしいと思います。
先ほど終了した三党協議で、国民民主党は所得制限の撤廃を申し入れた。さらに物価に応じた控除の引き上げを法制化することも求めた。国民全員に関係する税の協議、タイムリミットは間もなくだ。
(「イット!」2月19日放送より)