福岡県警は、2024年の1年間に、ニセ電話詐欺・SNS型投資・ロマンス詐欺の被害額が、90億円を超えたと発表した。
急増 警察官をかたるオレオレ詐欺
「ニセ電話詐欺の単体で見ると過去最悪の被害額となっています」と話すのは、福岡県警で特殊詐欺などの犯罪抑止を担当する犯罪抑止対策室の紫村幸輝室長。

2024年1年間の福岡県における被害額は、ニセ電話詐欺が849件で約23億円と、統計至上最悪の数字なのだ。また、SNS上で知り合った相手から投資名目で現金をだまし取るなどの、SNS型投資・ロマンス詐欺が664件で約69億円と、ニセ電話詐欺と合わせて被害額は93億円以上と深刻な被害状況となっている。

特に夏以降、増えてきているのが、警察官をかたったオレオレ詐欺だ。
「もしもし○○さんのご自宅でしょうか。葛飾警察署のオオサコです」。
福岡県内の高齢男性のもとにかかってきた警察官をかたる実際の詐欺音声。男性はある日「携帯代金に未納がある」などと言われ、その後、警察官を名乗るオオサコから電話がかかってきたという。

オオサコは「男性が逮捕される可能性がある」などとちらつかせ、話しを進める。
「今、検事さんの方で目を通してもらって、〇〇さんに対する捜査を今後、どうやっていくのかだと思うのですが。検事さんの方から、その頃には指示を私が聞けてると思うので、1時頃に〇〇さんへご連絡します」と話すオオサコ。

検事と話して改めて電話すると言って電話は切れたという。

実際に警察官をかたった詐欺犯とのビデオ通話の画面には、制服を着て警察手帳を見せる男の姿が映っている。なんとも用意周到だ。

電話からSNSへ誘導し、ビデオ通話などで制服姿を見せて警察官だと信じ込ませる。さらに個人名が入った逮捕状まで提示してくる場合があるという。
SNSを悪用する点に注意が必要
「自分が捕まってしまうのではないかと心配になって、犯人からの言うとおりに、お金を複数回にわたって振り込んでしまう」と犯人の手口を語る福岡県警の紫村室長。こうしたニセ電話詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺のいずれもメッセージアプリなどのSNSを悪用する点に注意が必要だという。

「電話であれば、やりとりを聞いている周囲の人が、不審な内容だと分かるので、止めることができるが、お金の支払いについてはスマートフォン上で簡単に行うことができるので、気がついたときは被害額が大きくなっていく」と柴村室長は警鐘を鳴らす。
「電話でお金の話しは全て詐欺」と言って間違いなさそうだ。
(テレビ西日本)