愛媛・松山市の「いよてつ高島屋」でチョコレートの祭典『アムール・デュ・ショコラ』が開催中だ。2025年は「ショコラのワンダーランド」をテーマに、国内外から約140ブランドが集結し、宝石のように美しいチョコレートの数々が来場者の目を楽しませている。かつての「義理チョコ」「本命チョコ」という概念が薄れ、代わりに「感謝チョコ」や「ご褒美チョコ」が主流となってきた新しいバレンタインの形が、会場からも見えてきた。
様変わりするバレンタイン文化
原料のカカオ豆の価格高騰による値上げやコロナ禍以降の働き方の変化などで「義理チョコ文化」が衰退するなか、その予算を使って自分や身近な人にチョコを贈るのが最近のトレンドのようだ。

いよてつ高島屋・食品グループの井土源セールスマネージャーは「今年のトレンドはパッケージやショコラのデザイン。見た目がかわいいものや面白いといったものが非常に人気。ご自身への『ご褒美チョコ』や、お友達に差し上げる『友チョコ』といった需要も高まっている」と話す。

来店した20代の女性は「自分用で見に来ました。仕事終わりに一粒一粒、毎日大切に食べてモチベーションをあげるようにしてます」と話し、別の20代女性は「自分用と、いつもお世話になっているおじいちゃんとおばあちゃんに。ちょっと高いチョコをぜいたくに食べたい」と購入の目的を語る。

30代の女性たちからも「子どもにご褒美で買って帰ろうかな。キャラクターのものがあったので」「パパにあげようかなと思って買いに来ました。自分にも買いたいな」という声が聞かれた。義理チョコについて尋ねると「ほぼ渡さないですね。渡してたの学生の頃ぐらい」と答えた。

この変化は、大手菓子メーカー・ロッテの調査結果にも表れている。
全国の10~50代の女性500人を対象にした調査では、チョコレートを渡す相手として最も多かったのは「家族」で6割以上を占めた。次いで「パートナーや友人」、「自分」が3割以上と続く。

一方で、「恋愛面で好きな相手」と答えたのはわずか5%にとどまった。バレンタインデーは感謝の気持ちを伝えたりチョコを楽しんだりするイベントに変化していると分析している。
注目の逸品で彩る新しいバレンタイン
ここで、プチぜいたくをしたい人必見!
『アムール・デュ・ショコラ』イチオシのご褒美チョコをご紹介する。

2025年の会場には、個性的な商品が数多く並ぶ。アイスキャンディーのような形をしたスティックケーキは、濃厚なブラウニーをなめらかなチョコレートでコーティングし、ドライフルーツで飾り付けたテントウムシやハートがかわいらしい“映え”な一品だ。
(ボンシャペリー『プレミアムショコ・ショコラ』 3個入り税込み1944円)

続いては、2025年初登場のベルギー発のチョコブランド「ローラン・ジェルボー」は、4種類のフレーバーを楽しめるトリュフ型チョコレートで注目を集めている。
(ローラン・ジェルボー『ギャレオフリュイセック』 8個入り 税込み5184円)

さらに、地元との協業も見逃せない。地元・石鎚酒造の純米大吟醸「さくらひめ」とコラボしたメリーチョコレートの商品は、いよてつ高島屋限定で販売される。
(メリーチョコレート×石鎚酒造「石鎚純米大吟醸さくらひめ」ガナッシュチョコレート 90g入り 税込1620円)
試食した曽我部愛麗アナウンサーは「濃厚です。口の中に入れた瞬間の日本酒の爽やかな風味と、ちょっとほろ苦いチョコレートの相性が抜群でおいしいです。香りが後まで続きます」と、絶賛する。
値上げの波に立ち向かう工夫の数々
カカオ豆の不作や乳製品の価格高騰により、会場に並ぶチョコレート製品の多くが約10%の値上がりとなっている。しかし、各メーカーは独自の工夫で対応を図っている。

一部の商品が値上がりしているが、そんな中でも、これまで通りバレンタインを楽しんでもらいたいと商品を改良したり、パッケージのコストを抑えたりするなどさまざまな工夫をしている。

「ボンシャペリー」の山岡詩歩さんは、「去年よりも少しだけ価格をあげたんですが、その分お客さまに喜んでいただけるように見た目を去年よりも少し華やかにしました。乾燥させたイチゴをのせてより見た目もインパクトがあるように、食べた時もいろいろな食感があるように」と工夫したポイントを話した。

いよてつ高島屋 営業第三部食品グループ・セールスマネージャーの井土源さんは「この時しか味わえない買えない商品もたくさんありますので見て・あげて楽しむショコラの祭典となっております」と語った。

一方、価格高騰は個人店にも影響が出ている。
松山市二番町にある個人店「chocolaterie tsumugi(ショコラトリーツムギ)」のパティシエ・亀田将太さんは「カカオの値段が1.5~2倍くらいはあがってきている。去年のバレンタインが終わったくらいから色んなチョコの値段が特に上がってきた」と状況を説明する。
コスト抑えこれまで以上のおいしさを
愛媛県産食材と世界中のチョコレートを融合したスイーツを販売する同店では、人気商品「ショコラン」を2024年11月にリニューアルした。

旬のフルーツやガナッシュなどとバタークリームをチョコレートサブレでサンドした商品で、従来よりサイズを1cmほど小さくし、2枚使っていたチョコレートサブレのうち1枚をプレーンに変更することで、むしろ値下げに踏み切った。商品によって30~50円の値下げを実現している。

コストを抑えるだけでなく、「これまでよりもおいしいスイーツ」を提供することにこだわったという。
試食した曽我部愛麗アナウンサーは「ショコランのイボワールいただきます。ホワイトチョコレートのクリーミーで上品な甘さがとてもおいしいです。クッキーのザクザク感とクリーミーさがよくあう」と話し、コストが抑えられていても、おいしさを味わえる。
ショコラトリーツムギでも、バレンタイン限定の商品が充実している。オリジナルの6種類に加え、バレンタイン期間中は3種類の限定「ショコラン」を用意している。

さらに、フルーツを練りこんだガナッシュをルビーチョコで包んだ「ボンボンショコラ」や、カカオの風味とほのかに香るシャンパンが特長の「生チョコレート」など、バレンタイン限定のスイーツを展開している。
亀田将太さんは「バレンタインという文化というか、大切な人へのプレゼントとか、今まで通りのバレンタインを過ごしてもらえたら」と話す。

時代とともに変化を続けるバレンタイン。自分へのご褒美として、あるいは感謝を伝えたい人への贈り物として。2025年はどんなチョコレートと出会えるだろうか。
(テレビ愛媛)