福岡・行橋市にある直売所『自然薯・御薯の里』の玄関先に登場した2つの巨大な白い物体。その正体とは…、巨大な岩塩の塊だ。なぜこの場所に?経緯を追った。

偶然ネットニュースで見つけて…

巨大な岩塩の塊を前に相好を崩す大嶋隆美さん(77)。自然薯の生産や販売を行う会社などを経営している。「無事に、ここまでたどり着いて一安心というところですかね」と愛おしそうに撫でる大嶋さん。この岩塩の購入者だ。

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実はこの2つの岩塩。かつては愛知・東浦町の郷土資料館で展示されていたもの。東浦町のある知多半島一帯に、かつて塩田があったことにちなんだ展示だったという。しかし施設のリニューアルを受け、2つの岩塩は、5年前から町が管理する倉庫の片隅で眠り続けていた。

愛知・東浦町の郷土資料館の倉庫に眠っていた岩塩
愛知・東浦町の郷土資料館の倉庫に眠っていた岩塩

東浦町は2024年4月にフリマアプリ「メルカリ」に、それぞれ30万円で出品。しかしなかなか買い手が現れず、その後、それぞれ21万円に値下げして出品していた。

「偶然、岩塩のニュースが出てきたんですよ」と話す購入者の大嶋さん。石や岩の収集が趣味だという大嶋さんは毎朝、日課のように見るネットニュースで岩塩の販売を知り、1月21日に、2つを衝動的に購入したという。

1月28日、大嶋さんは東浦町まで直接、岩塩を引き取りに赴いた。「びっくりしました。これは大きいな。どうやってトラックに載せようかなと。感動ものでしたね」と巨大な岩塩との出会いを手放しで喜んだ。

愛知・東浦町に岩塩を引き取りに赴いた大嶋隆美さん(1月28日)
愛知・東浦町に岩塩を引き取りに赴いた大嶋隆美さん(1月28日)

旅立つ子どもを見送るような心境

東浦町の日髙輝夫町長は「売れてよかったというよりも、新たな活用先が見つかって嬉しいです」と話す。念願だった購入者の出現に思わずホッとした表情だ。

また東浦町では「買う人がいるんだね~」と驚く町民もいれば、「よかったです。いつまででも(倉庫に)入ってたからね。皆さんに見てもらえれば」とまるで旅に出る子どもを見送るような思いで話す町民もいた。

とはいえドイツ産の岩塩は約2.5トン。さらにアメリカ産の岩塩は約3トンと合わせて5.5トンにも及ぶ2つの岩塩の塊を展示場所に移動させることも一苦労。フォークリフトを使ったり、数人がかりで押したりするなどして、ようやく展示に漕ぎつけたのだ。

「もったいないので、皆さんにできるだけこれを見て頂くような場所というか、使い方がいいんじゃないかな」と話す大嶋さん。今後はさらに岩塩の活用法を展示以外も検討しているという。

「この岩塩は、食べる検査はまだだというので、これから私がやってみて、いろいろ塩の研究をさせてもらおうかなと思います。私なりの楽しみが、またひとつ増えました」と大嶋さんはどこまでも楽しそう。岩塩について、販売している自然薯との効果的な組み合わせも含めて研究し、その可能性を広げたいとしている。

この2つの岩塩は、当面は直売所に展示される予定で、大嶋さんは、イベントで貸し出すことも考えているということだ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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