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岡山県内で決して大きくない町へのビジネスホテル進出が相次いでいます。どんな狙いがあるのでしょうか?佐藤理子アナウンサーがお伝えします。

(佐藤理子アナウンサー)
全国でビジネスホテルを展開するルートインジャパンが2月に岡山県北の真庭市に、新しいホテルをオープンします。ルートインは2026年までに「井原市」「玉野市」でもホテルをオープンする予定です。人口3万から5万人の決して大きくない町にホテルを新設するのはなぜなのか?取材しました。

「中国自動車道落合ICから車で約6分。こちらのエリアに2月に新しいホテルがオープンします。」2月オープンするホテルルートイン岡山真庭。ルートインジャパンが、倉敷市や津山市に次ぐ岡山県内4つめの施設として整備しました。

客室数は161。市内に100室以上のホテルができるのは初めてです。人口4万人の真庭市に進出した理由は何なのでしょうか?

(ルートインジャパン 近畿・中国・四国総支配人 柄澤輝幸さん)
「真庭市内は春夏秋冬を感じられる場所だから多くの観光客、レジャー、インバウンドでお越しになる方も注目する町だと思う。そういった宿泊需要にもしっかりお答えして町を盛り上げていきたい」

ルートインは元々、幹線道路沿いなどロードサイドに展開してきました。真庭市は2つの高速道路が交わる場所にあり、岡山県北の拠点都市、津山市にもアクセスしやすいというメリットがあります。さらに、醍醐桜などの観光名所があるため、まだまだ需要があると見込んでいます。

(ルートインジャパン 近畿・中国・四国総支配人 柄澤輝幸さん)
「これまで通過点とされていたような場所にホテルを建てることで、そこに新たな宿泊需要と雇用の創生など新たな賑わいを生むことができるという風に考えている」

ルートインは真庭に続いて3月に井原市、2026年には玉野市にもホテルをオープンさせる予定です。小さな町にビジネスホテルの新設が相次いでいる背景にあるのが、「スロートラベル」です。

スロートラベルとは、旅行先に長期間滞在し、地元の文化に溶け込むことで、より深い体験を求める観光スタイルのこと。主要都市の観光地を訪れるだけでなくあまり知られていない場所を選び地域とのつながりを重視する旅行者が増えています。

(岡山大学・中村良平特任教授)
「観光客の行動パターンが変わってきていて、少し滞在型になってきている。1週間ゆっくり滞在したいという観光のトレンドに変わってきている」

2024年12月にNYタイムズは「今年行くべき52か所」に富山市を選びました。混雑する都市部よりも地方に注目が集まっています。真庭市蒜山の道の駅で観光客に聞いてみると。

(観光客インタビュー)
「(蒜山は)きれいなところで好きです。」
「ジンギスカン食べた。おいしかった。」

道の駅の向かいには2022年にオープンしたユニークなホテルが。地元の人との交流やグルメを楽しんでもらおうとレストランを設けず宿泊に特化しているのが特徴です。99ある客室は、ツインルームが中心で価格は、1泊1万5730円から。

(フェアフィールド・バイ・マリオット・岡山蒜山高原 杉村康之支配人代行)
「地域に根付いて地域の情報発信、また地域と協力してゲストに新しい発見をしていただくようなことが共にできれば地域も私たちもゲストも楽しめるのではと思う」

ホテルが新設されることであまり注目されなかった地域に観光客が訪れやすくなり、消費が増え、活気が生まれる、いい循環が生まれる要因になります。

一方、中村教授は課題も指摘しています。例えば急に人が集まるオーバーツーリズムや県外の業者が入って地元の業者が圧迫される、人手不足になるなどです。こうしたことへの対策を事前に整えておくことも大切だという事でした。

岡山放送
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