長野市のJR長野駅前で発生した男女3人の殺傷事件で、警察は1月26日、女性に対する殺人未遂の疑いで46歳の男を逮捕した。逮捕されたのは、長野市西尾張部の無職・矢口雄資容疑者(46)。1月22日午後8時ごろ、46歳の女性を殺意を持って刃物で刺し、背中に軽傷を負わせた疑いが持たれている。事件では他に2人が刺され、会社員の49歳の男性が亡くなり、37歳の男性は重傷を負っている。容疑者は逮捕には素直に応じたものの、調べには黙秘しているという。

リレー捜査と情報提供が決め手

捜査本部は会見で、逮捕の決め手となったのは防犯カメラの映像を辿る「リレー捜査」と容疑者の写真公開後に市民から寄せられた多くの情報だったと明かした。

フリーダイヤルへの情報提供は25日までの3日間で326件にのぼり、「駅で逃げていく犯人を見た」「知り合いで似ている人がいる」などの情報が寄せられたという。

長野中央警察署に移送される容疑者
長野中央警察署に移送される容疑者
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捜査本部が置かれた長野中央警察署の松島敏史署長は、「大変多くの情報提供をいただいた、捜査活動にも協力いただいた。本当にありがとうございました」と述べている。

市民から安堵の声、仲間は怒り

逮捕の知らせに、市民からは安堵の声が上がった。

ある市民は「ほっとしました。やはり緊張感はありました。必要以上に防犯を意識しました」と話し、別の市民は「ひとまずほっとした。バスを利用するが、長野駅に出るのが怖い気持ちがあった」と語っている。

事件現場(JR長野駅前)
事件現場(JR長野駅前)

一方、亡くなった男性のサッカークラブの仲間は怒りを露わにした。「献花した時に『まる』に捕まったぞということは話した。ふざけんなよというのが正直な気持ち。何してくれてんだよと」と悔しさを滲ませている。

容疑者の自宅周辺住民は驚き

容疑者の自宅周辺の住民からは驚きの声が聞かれた。「本当にびっくりしましたし、安心しました。真面目そうに見えたけど、あいさつは全然ない」「自治会も何も入っていないので、行き来が全くない」「まさかこんなに近くにいると思っていなかったから、もし子供に何かあったと思うと、ドキッとする」「毎日、どうなるんだろうと過ごしてきたので、見つかって安心」といった声が上がっている。

容疑者の自宅
容疑者の自宅

市民生活への影響は一旦、収まりそうだが、容疑者が凶行に走った理由などは見えず、不安が拭えたとは言えない状況が続いている。県警はしばらくの間、パトロールを強化するとしている。

提供:長野県警察本部
提供:長野県警察本部

逮捕容疑は女性への殺人未遂だが、捜査本部は男性2人への犯行についても容疑者によるものとみて、3人を襲った動機など全容解明を進める方針だ。

(長野放送)

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