人工ダイヤモンドの普及で、天然ダイヤの価格が下がっている。
人工ダイヤモンドは、機械で短期間に結晶化され、純度が高いため天然ダイヤと比較してもより輝きがあるという。
価格は天然物と比べると5分の1以下で、需要が拡大している。

「ラボダイヤ」が人気…価格を押し下げる要因に

星のきらめきを閉じ込めたとも称される、憧れの宝石・ダイヤモンド。
世界約20カ国180社が集まった、日本最大級の宝飾品展示会「国際宝飾展」でも人気の宝石だ。

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イスラエルの出展者:
日本人はカラーダイヤモンド好きです。ピンク、ブルー、イエロー、グリーン、一番好き。

圧倒的な輝きや商品ラインナップの豊富さで常に人気のダイヤモンドだが、ここ数年、特に注目を集めている理由が「価格の値頃感」だ。
国際的なダイヤモンド取引所の価格の値動きを見ても、2022年からは下落の一途をたどっている。
金やほかの宝石類が高騰しているのとは対照的だ。

来場者:
何年か前も来て見ていたんですよ。前に比べたら少し安くなりました。

来場者:
ありがたい話ですよね。「ラボダイヤ」とかが、はやってきたからかもしれないけど。

「ラボダイヤ」これが今、ダイヤモンドの価格を押し下げる主な要因になっているという。

フジテレビ経済部・清水俊宏記者:
天然ダイヤモンドのコーナーから少し離れた場所に、別のダイヤモンドのコーナーがあります。「ラボグロウンダイヤモンド」と書いてあります。

昌弘貿易株式会社代表取締役・林裕民さん:
われわれはラボグロウンダイヤモンドの専門店で、すべて機械で作られた、天然ではない新しいタイプのラボグロウンダイヤモンドになります。

清水俊宏記者:
つまり人工でできたダイヤモンド?

昌弘貿易株式会社代表取締役・林裕民さん:
はい、すべて機械でできたものです。

清水俊宏記者:
値段は?

昌弘貿易株式会社代表取締役・林裕民さん:
天然に比べると5分の1から、一番安かったら10分の1くらいまでの価格決めになっています。

「ラボグロウン・ダイヤモンド」とは、「研究室(Lab)」で「育てられた(Grown)」人工ダイヤモンドのことだ。

昌弘貿易株式会社代表取締役・林裕民さん:
このあたりだと、1万円で手が届きます。

清水俊宏記者:
同じものが天然だったとしたら、いくらくらいですか?

昌弘貿易株式会社代表取締役・林裕民さん:
80万円くらいか、それ以上ですね。

輝きは天然よりも上…製造期間は「数週間から1カ月程度」

ここ数年、手頃な価格の人工ダイヤモンドが国際的に大きな広がりを見せているため、天然も含めたダイヤモンド全体の価格が下がっているという。
人工ダイヤモンドはいったい、どのように作られているのだろうか。

人工ダイヤモンド製造技術を提供する会社を訪問した。
代表が見せてくれたのは、人工ダイヤモンドの原石だ。

清水俊宏記者:
最初はどういうものなのですか?

アイリックス株式会社代表取締役・須納瀬正範さん:
ただの四角い平坦な板です。0.2mmくらいの板が成長していく。

薄い膜が、人工ダイヤモンドの“種”だという。
これを装置の中に入れ、メタンガスに含まれた炭素をダイヤモンドの結晶として層のように付着させる。
すると、ミルフィーユのようにどんどん成長し、人工ダイヤモンドの原石となる。
これをレーザーでカットして磨けば、宝石店で見られる透明なダイヤモンドとなる。

清水俊宏記者:
これくらいの大きさになるには、時間はどれくらいかかりますか?

アイリックス株式会社代表取締役・須納瀬正範さん:
数週間から1カ月程度です。天然の場合には、1億年以上年月がかかります。

清水俊宏記者:
時間短縮となると、輝きは天然に比べて劣りますか?

アイリックス株式会社代表取締役・須納瀬正範さん:
逆に不純物がない状態で作りますので、非常にクオリティーの高いものがコンスタントに作れます。

実は、人工ダイヤモンドの方が純度が高く、天然のものよりも輝きが増すという。

清水俊宏記者:
傾けると明らかに人工の方がキラキラしていますね。完全な素人ですけど、私が見てもすぐに分かります。

アイリックス株式会社代表取締役・須納瀬正範さん:
はい。それだけクオリティーが高い。

清水俊宏記者:
10カラットのダイヤモンドの場合、天然のダイヤだといくらくらいですか?

アイリックス株式会社代表取締役・須納瀬正範さん:
1億円以上ですね。われわれは100分の1くらい(の値段)で、100万円くらいですね。

こうした品質や価格が認められ、人工ダイヤモンドは世界ではかなり普及し始めている。
2023年6月には、インドのモディ首相が、アメリカのバイデン大統領夫人に7.5カラットの人工ダイヤモンドをプレゼントした。

今後は寿命が尽きたペットの骨など、体の一部を使ってダイヤモンドとして蘇らせるなど、人工ダイヤモンドならではのさまざまな事業が可能になるという。

「一生に一度の買い物」とされることも多かったダイヤモンドだが、それを気軽に身につける時代がやってくるかもしれない。
(「イット!」1月21日放送より)

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