今シーズンは全国的に各地で大雪となっている。大雪による交通障害で、特に命に関わるのが「立ち往生」。運転中に大雪に見舞われ立ち往生してしまった場合、どうすれば良いのか、自動車のプロに聞いた。

運転中の大雪は立ち往生に要注意

1月10日、強い冬型の気圧配置の影響で、山形県内をはじめ全国的に大雪となった。
大雪警報が出され、山形新幹線が運転をストップ、高速道路も全国各地で予防的通行止めを行うなど大きな影響が出た。

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私たちが自動車を運転中に大雪に見舞われた場合、最も気をつけなければならないのが、事故や渋滞によって発生する「立ち往生」だ。

JAF山形支部・野川智伸さん:
(大雪が降ると)立往生をしてしまう可能性がある。立往生した時は車から出られなくなる可能性もあるので、ドア周りに雪が積もって吹き溜まりになるなど、いろいろある。ドア周りの除雪をしっかりと行い避難できなくならないようにしてほしい。

「一酸化炭素中毒」への対策は?

立ち往生に巻き込まれた際に必要なことは、短時間で雪が降り、ドアが開かなくなるのを防ぐため、こまめに除雪すること。そして一番警戒しなければいけないのが、命の危険性が高い「一酸化炭素中毒」への対策だ。

野川さんは「立ち往生で、車の周りが雪に覆われると、排気ガスが車の底にたまってしまう。(排気ガスが)車の隙間から入ってくる“一酸化炭素中毒”に気をつけてほしい」と警鐘を鳴らす。

排気ガスに見立てた黄色い煙が車の下を通り…
排気ガスに見立てた黄色い煙が車の下を通り…

車の下半分に雪が積もった状態で、車から出る排気ガスの流れを調べたJAFの実験映像では、排気ガスに見立てた黄色い煙が車の下を通って、エアコンの吹き出し口から車内に侵入していることが分かる。

エアコンの吹き出し口から車内に侵入
エアコンの吹き出し口から車内に侵入

マフラーの周りが雪に囲まれてしまうと、短時間で一酸化炭素中毒に陥るという。

雪で覆われてしまうと、「外気導入」にしていても外気導入口から(排気ガスが)室内に入ってしまうため、排気ガスが車の底にたまらないように排気ガスの逃げ道を作り、マフラーの周りを除雪することで、中毒を防ぐことができるという。

一酸化炭素は空気とほぼ同じ重さのため、上や下に溜まりやすいということはない。
JAFの実験では5cmほど窓を開けて一酸化炭素を逃がそうとした場合でも、約40分で車内は危険濃度に達した。

野川さんは「一酸化炭素は目に見えないし、臭い・色もない。気がつかないのが一番怖いところ。待っているうちに一酸化炭素が体に害を及ぼして、意識がなくなり、正常な判断が出来なくなってしまう。逃げることもできなくなる可能性がある」と話す。

「雪は危険なものだ」という再認識を

また、車の中で長時間過ごすための備えも大切。
ある程度の水や食料を車に置いておくことや、防寒用の毛布も用意しておくといざという時に役立つ。

長時間過ごすための備えも大切
長時間過ごすための備えも大切

野川さんは「暴風雪警報が出ている時には不要不急の外出はしない。雪国育ちで雪道に慣れている人は多いとは思うが、『雪は危険なものだ』と再度認識して、気をつけてほしい」と語る。

全国的に、年々雪の降り方が極端になってきている。事前の準備が自分や大切な人の命を救うことにつながる。車の周りの雪を掘るスコップなど、いざという時に無いと困るものは、一度用意してしまえばずっと車に積んでおける。「前もって」の準備が大切だ。

(さくらんぼテレビ)

さくらんぼテレビ
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