全校生徒が参加する真冬のマラソン大会が佐賀県の有田工業高校で毎年開かれている。約80年続く伝統行事で、この冬も厳しい寒さに耐えながら男子は30キロ、女子は10キロの過酷なコースを駆け抜けた。

フルマラソンと同じ距離の時代も

有田工業高校のマラソン大会は80年ほど前の昭和20年代に始まったとされていて、フルマラソンと同じ42キロを走っていた時代もあるという。

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約30年前の1997年には男子30キロ、女子10キロという現在の形となったが、学校行事としては過酷なマラソン大会だ。

コースや距離を見直すべきとの声もある中、2024年の冬も伝統の全校マラソンは実施された。

大会当日の2024年12月13日、学校のグラウンドに集まりスタートを控えた生徒たち。馬場光弘校長は「有工マラソンを走ったという記憶は(人生の)色々なシーンで出てくると思います」と激励した。

そして3年生、1年生、2年生の順番で男子生徒が5分おきにスタート。30キロのコースを駆け抜ける伝統のマラソン大会が始まった。

それぞれのペースでゴール目指す

マラソンへの思いも体力も生徒によって様々。最初から快調に走る生徒。走ったり歩いたりと無理をしない生徒。それぞれのペースでゴールを目指す。

コースには水分をとったりミカンを食べたりできる補給所が5か所設置され、ここに立ち寄るのは生徒たちの楽しみのひとつ。長い距離を走る生徒たちに力とやる気を与えてくれる場所だ。

この日は冷え込み、走る方も大変だが、生徒の通過を見守る教師たちにとっても長時間寒さに耐えなければならない過酷な一日。教師も笑顔交じりに思わず「寒いです」と言葉を漏らす。

男子が出発して2時間あまり。男子の20キロ地点から女子が一斉にスタートした。

「1位を目指して頑張る」と宣言し、やる気満々の女子生徒も。

10キロを走る女子のマラソン。コースはゴールを目指す生徒たちの熱気に包まれていく。

「めっちゃきついです」

先頭の男子生徒が快調に飛ばす一方、後続の生徒たちは「いちばんの難所」とされる長い上り坂にさしかかった。最大の難関に苦しそうな表情を浮かべ坂道に挑む。

中には、ペースが大幅にダウンし、「めっちゃきついです」とついつい弱音を吐いてしまう1年生も。

一方、1位でゴールした男子生徒は「最高に楽しかったです」とさわやかな笑顔を見せていた。
宣言通りに1着でゴールインした女子。途中から歩きながらも最後まであきらめずゴールにたどり着いた生徒。
ペースは様々だったが、参加した生徒390人中、345人が完走した。

距離や在り方見直しへ…様々な思い

全校生徒が参加する伝統のマラソン大会。しかし、来年度以降については距離や大会のあり方を検討していて、存続するかどうか、まだ決まっていないという。
生徒たちの気持ちは…。

「伝統的なものなので、これから先も引き継いでいってほしい」
「きつかったけど楽しかった」
「夏の甲子園より大きい大会だと思っている」

男子30キロ、女子10キロという過酷なコースを真冬に走る「伝統のマラソン大会」。
生徒たちの思いは様々だが、ひとつの困難にみんなで臨んだという思い出は一生残るだろう。

(サガテレビ)

サガテレビ
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