言葉としては簡単なので、私が説明しなくてもなんとなく想像はつくと思うのですが、例えば、あなたがとあるチームのリーダーだったとしましょう。信頼する部下に「あの重要な取引先の売上拡大は任せたから」と伝えて見守っていました。

そして数ヶ月、業務を任せてみた結果、部下は期待していたような働きをせず、売上は上がるどころか下がる一方で、ここでなんとしても歯止めをかけなくてはいけないという緊迫した状況に陥ったとします。

期待と論破を混ぜない

まず、相手を「やっつける」会話とはこんな会話です。

「○○さんには期待していたのに、取り返しのつかない状況になったね。後始末はこちらでやっておくけど、後で始末書を書いて提出しておいてね。それから、このお客さんの担当は来月から△△さんにやってもらうから、君はもう関わらなくてもいいよ」

少し例えは古いですが、テレビドラマの遠山の金さんの桜吹雪のシーンや、水戸黄門が印籠を出すシーンのように、いわゆる「成敗」するのが、このパターンです。

会話で相手を「成敗」してはいけない(画像:イメージ)
会話で相手を「成敗」してはいけない(画像:イメージ)

では、「追い込む」会話とは、「○○さんには期待していたのに、取り返しのつかない状況になったね。自分でどう責任取るかを考えて、後でメールを送ってくれる?まったくもう、こっちの立場も考えてくれよ。どうするんだよ」といったイメージ。

そして「論破する」はこんなイメージ。

「○○さんは、元々の戦略が間違っていたと言いたいのかもしれないけれど、なぜ早い段階で修正しなかったの?問題が分かっていたら、なぜ何も行動を起こさなかったの?言い訳が通用するわけがない。プロとしての対応能力が求められていたはずで、この結果はあなたの実力不足でしかない」

この3つの言葉遣いをしてしまうと、相手としては「申し訳ありません」ぐらいしか言えなくなってしまいます。これでは、事情すら答えてくれなくなるので、避けたい話法であると覚えておきましょう。