2023年7月、札幌市・ススキノのホテルで男性を殺害したとして親子3人が逮捕された事件。

2025年1月14日、札幌地裁で開かれた初公判で父親・田村修被告は起訴内容を否認し、無罪を主張した。

「事実と違うなというところが何点かある」(田村修被告)

修被告の初公判始まる

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2023年7月に札幌・ススキノのホテルで頭部のない男性の遺体が見つかり、親子3人が起訴された事件。

午前11時から父親・田村修被告の初公判が始まり、黒のスーツを着た修被告が法廷に姿を現した。

真っすぐ前を見つめながら、裁判長の問いかけに対しこう主張した。

「私は事件が起きて娘の犯行を知った。ビデオ撮影も直前まで何を撮影するかわからなかった」(修被告)

修被告は起訴内容を否認し、無罪を主張した。

この事件で罪に問われたのは親子3人。

娘の瑠奈被告が殺人などの罪に、両親が殺人や死体遺棄などのほう助の罪に問われている。

起訴状によると、修被告は瑠奈被告と一緒にのこぎりを購入するなど殺人を手伝ったとされる。

さらに事件後、自宅に頭部を隠すことを容認したほか、瑠奈被告が頭部を損壊する様子をビデオで撮影した罪にも問われている。

いびつな関係

田村親子
田村親子

そして、これまでの母親の浩子被告の裁判で、事件に至るまでの家族の様子が明らかになっている。

「頭部の存在に気付いたのは家に持ち込まれた後。とがめることができませんでした」(浩子被告)

また、浩子被告は2024年6月の初公判で「遺体を遺棄することを容認したのは違う」と無罪を主張している。

これまでの裁判では家族が異様な関係のなかで暮らしていた実態もあきらかになっている。

「あんたもそのくそアマもよ、どっちもよ。熟女系の風俗にでも売り飛ばせばいい。とっとと売れや、そのくそアマをよ」(瑠奈被告)

瑠奈被告は家族に対して暴言を吐くなど、いびつな関係が浮き彫りになった。

法廷で語ったこととは

一方、1月14日の修被告の初公判には傍聴券を求めて20人以上が列を作った。

「娘が行ったことに対して父親としてどういう責任を持っているのか父親としての部分を私は見てみたいと思う」(傍聴券の抽選に並んだ20歳大学生)

「どこまで娘を守りたかったのか心情を聞いてみたい」(傍聴券の抽選に並んだ65歳男性)

注目が集まる中、午前11時から始まった初公判で修被告はこう語った。

田村修被告(61)
田村修被告(61)

「事実と違うなというところが何点かある。私は事件が起きて娘の犯行を知った」(修被告)

修被告は無罪を主張する一方で、「被害者により一層のご迷惑をおかけしたことは申し訳ない」と謝罪した。

ビデオ撮影について新たな事実も

殺害現場となったホテル
殺害現場となったホテル

これまでの裁判で、被害男性と瑠奈被告の間に性的なトラブルがあったことが明らかにされているが、14日の裁判では検察側がホテルで交わされた瑠奈被告と男性との最後のやりとりが明らかになった。

「人生で一番反省したことは私を裏切ったことでしょ?」(瑠奈被告)

「あんなに怒られたことない」(被害男性)

このやりとりの直後、瑠奈被告は男性をナイフで殺害した。

事件前、修被告は瑠奈被告とともにのこぎりを購入していたが、「指定された化粧品や物品などを購入したことについては殺害や死体損壊のために使うものだと思わなかった」と主張した。

また、瑠奈被告を送迎し、自宅で遺体を撮影したことについては、「頭部があると知らなかった。持ち帰った後に分かった。隠そうと考えたことはなく何もできなかった。ビデオ撮影は直前まで何を撮影するか分からなかった」と述べた。

検察側は、そのビデオ撮影について新たな事実を明らかにした。

事件後、玄関で発見されたビデオカメラには、遺体の損壊だけでなく、殺害の様子も録画されていたという。

さらに、事件の前の月、瑠奈被告の要望で家族3人で話し合いをもち、その翌日に凶器を購入していたことを根拠に、検察側は修被告が殺害を認識していたと主張している。

裁判は全12回開かれ、判決は3月12日に予定されている。

北海道文化放送
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