宮崎・小林市の野尻湖で水草が爆発的に繁殖し、ダム湖を覆いつくしている。宮崎県は専用の回収船を手配し本格的な除去作業に乗り出した。川の水質にも影響を及ぼしかねない厄介者。現地を取材すると、さらに厄介な事情が見えてきた。

水草の正体は特定外来生物

小林市野尻町の岩瀬ダム。その下にある野尻湖が、約80ヘクタールにわたって水草に覆われ、一面緑色に染まっている。想像以上の繁殖力で湖全体が水草に覆われていて、陸地と湖の区別がつかないほどだ。

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その正体は、特定外来生物に指定されている「ボタンウキクサ」。もともとは鑑賞用に輸入された南アフリカ原産の多年生の水草で、強い繁殖力が特徴だ。

野尻湖では、2023年10月にボタンウキクサの生息を確認し、2年余りでその範囲は約80ヘクタールにまで拡大。これにより、船が湖を往来できず、ダムの管理に支障をきたしているほか、水質の悪化も懸念されている。

そんなボタンウキクサを水面から拾い上げてみると…その根は長く、1メートル以上あることがわかった。

児玉泰一郎アナウンサー:
葉は枯れているが、根は生き生きとしている様子。春になると繁殖が再開するそうだ。

こうした状況を受け、宮崎県は補正予算を組んでボタンウキクサの除去を決定した。その費用は約2億1600万円にものぼる。正月明け早々から、岐阜県から手配した専用の船で回収作業に着手した。

都城土木事務所河川砂防課 鏡園義幸課長:
2隻の船を用いてウキクサを陸にあげて運び出す作業になる。低い密度でコントロールする、低密度管理という形を目指したいと考えている。

作業初日、3時間ほど取材を続けたが、除去しても除去しても風で寄せられて、きりがない様子だった。

さらに厄介なのが、回収したあとだ。特定外来生物は、法律で移動させることが禁止されているため、そのまま処分場に持っていくことはできない。回収したボタンウキクサは仮置き場に運び、完全に枯らさなければならない。

都城土木事務所 鏡園義幸さん:
量が多いという一言に尽きる。運搬をするところが手間がかかり大変。地道にあげていくしか方法がない。専用の機械を用いても手間がかかる。

ただ、特定外来生物は、これ以上広げないために法律で移動が禁止されているため、完全に枯らして死んだ状態にしないと処分場に持っていくことができない、非常に厄介なものだ。県によるボタンウキクサの除去作業は、春先まで予定されている。そこまでに完全に撤去できるのか。作業は始まったばかりだ。

(テレビ宮崎)

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