「たくあんの缶詰」が、防災食として大ブレイクしている。海上自衛隊の応急糧食に採用されたほか、番組での紹介により一時在庫がなくなったほど。実は「たくあん」の防災食としての歴史は江戸時代にまでさかのぼる。日本農業遺産に認定されている宮崎県宮崎市田野・清武地域では、高さ6メートル、長さ150メートル、世界最大規模の大根やぐらで、伝統的な「たくあん」づくりが行われている。

伝統の大根やぐら

宮崎市田野町、野田悦男さんの大根やぐらでは、束ねた細い白首大根を干す作業が行われていた。

大根生産農家 野田悦男さん:
2024年の大根は、時期が遅れたせいで少し小ぶり。秋の長雨で作付けが大変遅れて苦労した。いい品が出来るように頑張る。

大根干しは、大根の生育状況にあわせて、前年より10日ほど遅らせて始めたとのこと。大根は、鰐塚山から吹き下ろす、乾いた冷たい西風にさらし、約2週間干す。
たくあんの缶詰が大ブレイク!

宮崎市の道本食品直売所。200種類ものたくあん商品がある中で、『保存食』として2024年に大ブレイクしたたくあんがあるという!

それが、「日本の干したくあん」。この缶詰は、海上自衛隊の応急糧食にも採用され、2022年の日本缶詰大賞でグランプリを獲得した。

道本食品 道本泰久専務:
11月にある番組で紹介されたことをきっかけに、想像以上の問い合わせと注文が入り、売り切れてしまった。少しずつ再販売ができるようになってきた。
11月の売り上げは、年間の約半分!在庫も全てなくなってしまうほどの大ブレイクだったという。
大ブレイクの理由は「防災食」

道本食品 道本泰久専務:
「防災食」として注目された。防災食の専門家の方から、 “被災中に食べたくなるのは野菜” というご指摘をいただき、私たちも驚いた。

干し大根は、日本農業遺産に認定された田野・清武地域の伝統的な農業の象徴。江戸時代末期に、郷土の偉人・安井息軒が、「自然災害への備え」として「カンショ」を干して保存食として蓄えるように提唱したことが始まりだといわれている。

道本食品 道本泰久専務:
2024年は特に、夏の暑さや長雨など大変な中、生産者は大根を作ってくださったので、おいしいたくあんにして、みなさんにお届けしたい。
2024年は災害が相次いだ年だった。今後もいつ、どこで、自然災害が発生するかわからない。伝統の防災食は、時を超えて現代も被災者に寄り添っている。
(テレビ宮崎)