2024年は大分県内でオレオレ詐欺が急増。被害は60件で5億円を超え、そのほとんどが警察官をかたるオレオレ詐欺だ。
2024年11月、TOSの情報番組にも出演しているシェフ・菅恵美子さんが被害にあった。詐欺の手口をもっと知ってもらいたいと、取材に応じ一部始終を語ってくれた。
「全部嘘だと分かった。私の知る詐欺事件と私が体験したことは別のものとしてしか捉えられていなかった」
こう話すのはイタリアンシェフの菅恵美子さん。中津市で宿泊施設などを営み、TOSの番組にも出演する人気のシェフである。

菅さんは2024年11月、警察官や検察官をかたるオレオレ詐欺の被害にあい、計約600万円をだまし取られた。
菅さんが事件に巻き込まれたきっかけはスマートフォンに突然かかってきた「+」から始まる国際電話。
音声ガイダンスが流れその後、NTTドコモの職員を名乗る男と電話が繋がった。
そこで名前や住所を聞かれた後、次のように言われた。
「菅さんの電話番号を使って迷惑メールの被害が出ている。犯罪に巻き込まれている可能性があるので大阪府警に電話して欲しい」

電話はそのまま大阪府警の警察官を名乗る男に転送された。菅さんは「NTTドコモの話は、まったく自分に身に覚えも無く疑われる要素も無いと思った」と当時のことを振り返る。
『大阪府警 捜査第2課の渡辺良』と名乗る男が 大阪府警のホームページを見るように誘導
電話に出た男は『大阪府警 捜査第2課の渡辺良』だと名乗った。そして、電話が詐欺だと怪しまれないためにある手口を使う。
その男は、菅さんに大阪府警のホームページを見るように伝え、記載されている電話番号を覚えておくようにと話したという。すると記載されていた電話番号から折り返しが。

これが菅さんが今回の詐欺を信じてしまった大きなきっかけだった。この2つの番号、一見同じだが、よく見ると頭に「+」が。国際電話の番号である。
菅さんはその後、『大阪府警の渡辺良』を名乗る男から「菅さんの携帯電話がある大きな詐欺事件の犯行現場から押収され、通帳やキャッシュカードも発見された。菅さんは事件の容疑者です。資料なども送りたいのでSNSで話をさせて欲しい」と言われたという。
そしてLINEを交換し、送られてきたのは2枚の紙。「守秘義務誓約書」そして「守秘義務誓約内容」。
詐欺を疑うも 大阪府警と電話番号が同じだったことがよぎる

この事件に関して他言しないことやインターネットでの検索を制限することなどが書かれていた。菅さんは不審に感じ詐欺を疑ったそうだが、そう思う度に大阪府警と番号が同じだったことが頭をよぎった。
その後、『大阪府警の渡辺良』から再び電話があり、「事件の容疑者として逮捕されないために保釈保証金という制度がある。支払えば逮捕されず無実を証明出来る。 事件の解決に向けて協力して欲しい」と正義感を揺さぶるように話を持ち掛けてきたという。
検察官を名乗る女の電話で恐怖心を抱く
金を要求された菅さんは数日間、指示に従わなかった。すると検察官を名乗る女から電話がかかり、次のように言われた。
「電話をしてからもう3日経っている。あなたは何も行動を起こしていない。今から身柄を拘束するよう手続きする。逮捕されたくなければ、今日中にお金を用意してください」
この電話で真実味が増し恐怖心を抱いた菅さんは、LINEなどで指示されるままに行動する。
そして、指定された口座に現金を振り込むことと、振込限度額を変更するように言われる。

その後、検察官を名乗る女が電話でATMへ誘導。この時、スマートフォンはバッグの中で通話状態にしておくように指示されたという。そして菅さんは友人などから借りて集めた200万円ほどを口座に振り込んだ。
「本件が終わったら大分まで説明に行く」
その日の夜、『大阪府警の渡辺良』から一通のラインが。
「今日はお疲れだと思いますのでゆっくり休んでください」
菅さん「(大阪府警の渡辺良が)お金も必ず返ってくるし本件が終わったら大分まで説明に行かなければいけないと、その時に金を貸してくれた 友人にも説明はするし、あなたたちの仲に亀裂が入るようなことはありませんのでと言われた」と話す。
そして、菅さんは翌日以降も指示に従い計約600万円を指定された口座に。
しかしその後、『大阪府警の渡辺良』と連絡が取れなくなり実際に大阪府警に電話をしたことで詐欺に気付いた。

菅さんは「『大阪府警の渡辺良』と信頼関係が築けていると思い込んでしまっていた。すごく巧妙なんだということをもっと知らせないと。単純なオレオレ詐欺だったら絶対に分かる。でももっと巧妙になると騙される人が増えてしまう。なるべく細く情報を出すべきだと思う」と話している。
(テレビ大分)