通帳や印鑑、年金手帳、免許証、家の鍵などの生活必需品や、仕事で絶対に紛失してはいけない書類などを失くすことは、社会生活において信頼をなくしたり、手続きが遅れたりと、大きな犠牲を払うことになるからです。

特に失くしてはいけないもの、直近で使う予定があるもの、誰かに頼まれて預かっているものなど重要度が高い書類は、色のついたファイルに入れたり、分厚いバインダーに挟んだりして目立たせ、自分の注意をひきつけやすくしたり、たとえば、重要な書類は赤いファイルに、顧客関連の書類は青いファイルに整理するなど、色分けして管理します。

定期的に机周りの整理をする

また、机周りの整理整頓は、昼休み明けや1日の終わりに毎日定期的に行うことをおすすめします。1週間や1カ月単位の整理整頓はおすすめしません。

あまり溜め込まずに情報がフレッシュなうちにその都度断捨離するという方式の方が負担が軽いのです。こうすれば、パソコンを開く、印鑑を押すなどの業務に必要なスペースを机の上に確保することができるでしょう。

さらに、書類の保管場所にもこだわるといいでしょう。金属製の重さのしっかりしたファイル立てを複数購入し、色分けした書類を並べていきます。机の奥深くのファイルに挟み込むのではなく、パッと見てわかるようにしておくのがポイントです。

ADHD傾向の強い人は記憶力が弱いことでも知られていますから、視界に入らない=存在を忘れてしまうと考えておくといいでしょう。

ですから、対策にはいわゆる「見せる収納」が向いています。もちろん使った後は必ず元の場所に戻す習慣をつけることも重要です。

『仕事も人生も、これでうまく回る! 不器用解決事典』(朝日新聞出版)
『仕事も人生も、これでうまく回る! 不器用解決事典』(朝日新聞出版)

中島美鈴
1978年福岡生まれ、臨床心理士。公認心理師。心理学博士(九州大学)。専門は時間管理とADHDの認知行動療法。

中島美鈴
中島美鈴

1978年福岡生まれ、臨床心理士。公認心理師。心理学博士(九州大学)。専門は時間管理とADHDの認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部などの勤務を経て、現在は中島心理相談所 所長。他に、九州大学大学院人間環境学府にて学術協力研究員および独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター臨床研究部非常勤研究員を務める。『ADHDタイプの大人のための時間管理ワークブック』(星和書店)、『働く人のための時間管理ワークブック』(共著、星和書店)『脱ダラダラ習慣!1日3分やめるノート』(すばる舎)など著書は本書を含めて51冊にのぼる。