「ゆびさきにくすりをぬって つけたりはなしたりすると ふしぎなけむりがでます」

こう書かれた妖怪のカードを覚えている40~50代の人も多いだろう。「ようかいけむり」や「おばけけむり」と呼ばれた、あの懐かしいおもちゃが販売終了するというツイートが話題になっている。

後世に残していけるようにと
色々と画策したんですけど
力及ばずでした...。

ようかいけむり・おばけけむり
については、在庫限りで終了となります。

無くなってしまう前に
良ければ遊んでみてくださいね。

このように販売終了を知らせたのは、愛知・名古屋市でお祭りやイベント向けのおもちゃ・文具・雑貨などを扱う堀商店のアカウントで、8月31日、Twitterに投稿した。

「ようかいけむり」や「おばけけむり」は、小林商店という会社が製造しているおもちゃで、昭和の時代から発売されていた。

ふたつの違いは、恐ろし気な妖怪のイラスト・価格・カードのサイズで、「おばけけむり」は1束50枚で価格は1枚10円、「ようかいけむり」は1束30枚で1枚20円となっており、駄菓子店などではそれぞれの束から1枚ずつ引きちぎって売られていた。
 

「ようかいけむり」
「ようかいけむり」
この記事の画像(5枚)

カードの裏面には「くすり」が塗られており、それを親指や人差し指などでなぞって2本の指をつけたり離したりすると不思議な煙りがフワフワと出てくる。

もっと煙りをたくさんを出そうと、たくさんの指に「くすり」つけたり、手のひらに塗ったりして頑張った人も多いのではないだろうか?筆者もその1人だが、1枚では限界があるのかどうやってもたくさん煙は出なかったと記憶している。

「おばけけむり」
「おばけけむり」

そんな記憶に残るおもちゃの販売終了がTwitterに投稿されると、たちまち多くの注目を集め、約6万いいねが付いて4万近くRTされた。(9月3日現在)さらに多くの人から惜しむ声が寄せられている。

・子供のころに遊んだおもちゃが無くなるのは寂しいですね
・なくなるなんて信じられない…
・煙が出るだけなのに不思議で夢中になった

思い出のある商品がなくなるのは悲しいものだが、それにしてもなぜメーカーではない会社が終了をお知らせしたのか?そして在庫は今どのくらい残っているのか?

堀商店のツイートをした担当者に聞いてみた。

私が個人的にすごく好きなので…

――このおもちゃはいつからある?

正確なところは分かりかねます。私は1981年生まれなんですが、その上の世代の方も知ってるので少なくとも1970年代から存在していたのは間違いありません。


――誰が作っている?

「ようかいけむり」や「おばけけむり」を作り始めたのは、すでに亡くなられた小林商店の先代の社長で、以降は親族の方が事業を引き継いでいました。町工場のような感じで、経営者他パート数名の方で作っていらっしゃいました。

――なぜ作らなくなった?

継承された親族の方もご高齢になり、さらに材料もなくなってしまったそうです。

今までにも、おそらく先代の社長がお亡くなりになったタイミングなどに、商品がなくなると噂になりましたが、そのとき弊社で確認したところ事業継続の意思をお持ちでした。それが、ここ数年は商品の入荷が不安定になり、ちょっと危ういと思うような状況が続いていました。

7月の上・中旬ぐらいに「製造が終わる」という話が出て、8月に弊社で確認をしたところ本当に終了することが分かりました。


――ところでメーカーではない担当者がなぜツイートした?

このような商品の情報は普通あまり表に出ないものですが、私が個人的にすごく好きなこともあって、世の中の皆さんにも情報をお伝えしようとツイートをしました。
 

もう100束もないかもしれません…

――売り上げ推移は?ピーク時よりどのぐらい減った?

特にピークも谷もないというか、時代に影響されて売り上げが上下するような商品ではありません。どちらかと言えば、バカ売れするようなこともなく、ぽつぽつ売れて存在し続けていました。例えば「ようかいけむり」なら年間にだいたい4~50束とかそのぐらい売れて、本当に細く長く販売し続けていた商品です。


――在庫はどのぐらいある?

9月1日の夕方ぐらいに弊社で保有してた在庫は終了しました。

市場全体での在庫は、7月ぐらいの「これで終わり」という話があった段階で、どのぐらいの問屋が仕入れをしたかによるでしょう。全国の在庫はどうなんですかね…もう100束もないかもしれません

ただ一部では転売されていて、そういった市場在庫はあるようです。中には1束数千円~で売っているケースも見受けられて、私も心を痛めているんですが、このおもちゃは子どもがたくさん遊んでそこで初めて価値が出るものだと思います。


――これからどうなってほしい?

やはり未来の子供たちにも遊んでもらえるように、残ってほしいと思います。「ようかいけむり」や「おばけけむり」は本当に古いおもちゃなんですが、今の子にとっては新しいおもちゃかもしれません。

できることなら、販売以来おそらく変わってない今までのパッケージのままで、「おじいちゃんもこれで遊んだ」「お父さんも遊んだ」と、子供も孫もずっと同じもので遊べるようになるといいですね。その道を探すのが弊社でなくてもかまいませんので、文化として世代を超えて残ってほしいです。
 

ちなみに、たびたび話題になる「ようかいけむり」「おばけけむり」の正体についても聞いてみると、主原料は「五酸化二リン」だそうだ。しかし商品自体が非常に古いために品質表示などは一切ないのだという。

製造元と取引のあった会社のツイートから、懐かしいおもちゃがなくなるのを今回知ることとなった。時代の流れで仕方のないことではあるが、担当者が話すように「文化として世代を超えて」なんとか残ってほしいと願う人も多いだろう。

(画像提供:堀商店)
 

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プライムオンライン編集部
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