大阪地方検察庁のトップ・検事正だった北川健太郎被告が部下だった女性検事に性的暴行を加えた罪に問われている裁判。
12月10日、弁護団が会見を開き、「同意があると思っていたため、故意がない」などとして、無罪を主張する方針を示した。
北川被告は10月の初公判で起訴内容を争わない主張をしていた。
■【動画で見る】『無罪主張』へ 性的暴行の罪問われた「大阪地検元トップ」“争わない”とした初公判から一転
■初公判で「争うことはしません。被害与えたこと反省し、謝罪したい」全面的に認める

北川被告(65)は大阪地検の検事正だった2018年、当時住んでいた自身の官舎で、酒に酔って抵抗できない状態の部下の女性検察官に性的暴行を加えた罪に問われている。
北川被告は初公判で起訴内容について、「認め、争うことはしません。被害者に深刻な被害を与えたことを反省し、謝罪したい」と述べていた。
■一転弁護団が「同意があると思っていたため、故意がない」など否認へ

12月10日に裁判についての進め方を話し合う協議が行われ、その後の記者会見で弁護団は、起訴内容について「被害者が抵抗できなかったことについては合理的な疑いがあり、同意があると思っていたため、故意がない」などとして、無罪を主張すると明らかにした。
また、初公判で北川被告が起訴内容について「争わない」と述べたのは、「事件関係者を含め、検察庁にこれ以上迷惑をかけたくない」という理由があったことを説明。
さらに北川被告の弁護にあたる中村和洋弁護士は、「北川さんの主張は被害者が実際に性交等に同意していたというものではありません。北川さんの当時の内心として同意があると思っていたと言う主張です」と述べています。
また弁護団のメンバーも入れ替わるということだ。
■被害者の女性検事は「大阪地検が立ち行かなくなる」と書面受け取り被害申告できず
これまでに被害者の女性検事は、記者会見を開き被害について次のように訴えている。
被害者の女性検事(10月):検察庁のトップから全てを壊された。女性として妻として母としての私の尊厳、検事としての尊厳を踏みにじられ身も心もぼろぼろにされ、大切な家族も壊された。
また、北川被告から「同意があると誤信していた。表沙汰にすれば大阪地検が立ち行かなくなる」などと書かれた書面を受け取り、被害をすぐに申告できなかったということだ。
被害者の女性検事(10月):『申告すれば(自分は)死ぬ』『検察が壊れる』と言われ、検察を守らなければいけないと思った。被害を受けてから約6年間本当に苦しんできたので、なぜもっと早く罪を認めてくれなかったのか、もっと早く認めてくれたらもっと早く被害申告できて、この経験を過去のものとしてとらえ新しい人生を踏み出すことができたのに。
被害者の女性検事は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、現在も、休職している。
■被害者の女性検事 被告側会見受け「私をどこまで愚弄しなぶり殺しに…」
さらに10日の北川被告側の弁護団の会見を受けて、被害者の女性検事は次のようにコメントしている。
被害者の女性検事:被告は、私をどこまで愚弄し、なぶり殺しにすれば気が済むのでしょう。
被告は、初公判で、『罪を認め争うことはしません。被害者に深刻な被害を与えたことを深く反省し、謝罪したい。』と述べていましたが、それは保釈を得るための芝居だったのでしょうか。
初公判により被告の卑劣で悪質な犯行や犯行後の言動が明らかになったことで、被告を非難する声が高まっていること、せっかく初公判で罪を認めたのに、保釈請求も却下され、また、私が一貫して判決確定まで損害賠償金の支払いに応じないと表明していることから、いよいよ実刑判決が見えてきたことに焦り、さらに、被告が親しい女性副検事に捜査情報を漏洩させるなどしていた疑いがあり、それについても処罰の可能性が出てきたことから、自己保身ゆえに再び否認に転じたのだと思います。
被告は事件当初から弁解を二転三転させてきました。たくさん嘘もついてきました。被告の再びの嘘を誰が信用するのでしょうか。
検察のトップにいた人が、事件から6年もの間、一度たりとも被害者の苦しみを想像せず、真に罪を償おうと思うことがなかったことは、被害者としてもとても悲しく、検事としてもとても情けないです。
被告がどのように主張しようが、真実は一つです。司法の正義を信じます。検察トップが犯した重大な罪と、被害者を傷つけ続ける無反省で無神経な言動に見合った長期の実刑判決を求めます。
(関西テレビ 2024年12月10日)