夏の甲子園で公立高校としては、18年ぶりにベスト4に入った「県立岐阜商業高校」。
熱戦の中で注目されたのが、横山温大(はると)選手です。
実は、横山選手には生まれつき「左手の指」がありません。
22日放送の関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」では、県立岐阜商業高校の前監督・鍛治舎巧さんにインタビュー。
準決勝で敗れた翌日に横山選手から「大学でももっとレベルアップできるようにこれからも『顔晴って』行きます!」というメッセージが届いていました。
■「ハンディがある子に勇気と希望を与えられるように」横山選手の秘めた思い
今大会、注目を集めた県立岐阜商業。
その躍進を支えたのが、3年生の横山温大選手。
生まれつき左手の指がありません。
【横山選手の父・直樹さん】「生まれてすぐに医師から呼ばれて『実は左手の指がない』と言われて。それはショックというか…」
野球をしていた兄や姉にあこがれ野球を始めました。
自身が持つ秘めた思いとは…
【横山温大選手】「自分みたいなハンディがある子たちとかに勇気と希望を与えられるように『こういう体でもできるんだぞ』と示せるように」
■横山選手の大活躍の背景に前監督の存在
なんでも前向きに考え、チームの原動力となった横山選手。
その大活躍の裏には「1通のメッセージ」がありました。
準決勝が終わった21日、取材班が向かったのは大阪にある野球場。
【鍛冶舎巧 前監督】「残念でした!負けました。期待したんですけどね」
大阪の少年野球チーム「枚方ボーイズ」を指導する鍛冶舎巧(かじしゃ・たくみ)さんは去年まで県立岐阜商業野球部の監督をしていました。
(Q 最初に出会ったのはいつ頃?)
【鍛冶舎巧 前監督】「中学2年生の時ですかね。ピッチャーでした。左手にグラブをくくり付けて、指が欠損してますから。右手で投げてましたけど、そこそこいいボールを投げるんですよね」
■ピッチャーでは2軍…横山選手から夜中に届いた「決意のメッセージ」
横山選手は元々ピッチャーでしたが、県立岐阜商業では2軍に当たる「Bチーム」で、思うように活躍できない日々が続いていました。
そんな中、鍛冶舎前監督のもとに一通のメッセージが…
【鍛冶舎巧 前監督】「メールが夜中に来て。『夜分すみません。ピッチャーをやってましたけども、とてもこのままじゃベンチに入れない。だからバッターで勝負をしたい。バッターというのはピッチャー以上にハンディは大きいだろうけど自信がある。バッターで勝負させてください。外野手がやりたい』というメールが来たんですよ。相当な決意だなと思って『いいよ!それならがんばれ!』とメールを返した」
ピッチャーから野手へ。横山選手の固い決意が詰まっていました。
■バッターで覚醒!「グラブを外して投げる」スタイル変更は「努力の塊」
そして半年が過ぎたころ…
【鍛冶舎巧 前監督】「Bチームのフリーバッティングをネット裏から見たんですよ。『あの左バッター誰?』って聞いたら、『横山です』っていうんで、びっくりして。すごいスイングしてるんですよ」
監督も驚くバッターに成長!すぐに1軍にあたるAチームへ昇格。
ただ、成長はそれだけではありませんでした。
【鍛冶舎巧 前監督】「前は左手にくくりつけて持ってたグラブが高校に入ってから高野連の違反でしょうから、右手にグラブをもって右手で取ってすぐ外して投げるという形に変わってましてね。その努力はすごく大変だっただろうな。相当な決意がないとできない。そんな努力の塊のような選手でした」
■前監督「自分で全て将来を切り開いた」横山選手は”大学”でもレベルアップ誓う
準決勝で敗れた横山選手から21日、鍛治舎前監督のもとに1通のメッセージが届きました。
【鍛冶舎巧 前監督】「大学でももっとレベルアップできるようにこれからも『顔晴って』行きます!『顔晴る(がんばる)』はね『顔を晴れやか』に。どうせ厳しいことをするなら顔を晴れやかにやろうと。みんなこれ使ってます。
グラブを持ち替えたのも自分だしバッターに挑戦したのも自分だし。自分ですべて自分の将来を切り開いてここまで来ましたよね。立派です」
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2025年8月22日放送)