長野県宮田村の小田切康彦村長に職員へのパワハラと選挙違反の疑惑が浮上していることがわかった。パワハラ疑惑については、村長は取材に「本人がそうだと思えば、それはパワハラ」と答えた。一方、村の顧問弁護士が職員アンケートを行い実態を把握する予定で、村長は「調査結果を待って意思表示する」としている。
村長にパワハラ疑惑
12月2日夕方、村議会の全員協議会に出席した宮田村の小田切康彦村長は「お騒がせしてしまっている件については、お詫びしたいと思っている」と述べた。

自身に浮上した職員に対するパワハラと公職選挙法違反の疑惑について、11月、新聞社の記者から取材を受けたことを明かした。
複数の職員「辞めろと言われた」
協議会に先立ち副村長と村の顧問弁護士が記者会見を開いた。
新谷久男副村長は 「パワハラの事実があったかどうか明確にしていかなければいけない。村としてこういうことは看過できない」と述べた。

会見によると、11月、新聞社の記者から、「複数の職員から『辞めろと言われた』、『書類を投げつけられた』、『民間企業と比べると公務員はダメと言われた』などの情報が入っている」と事実確認を求められたという。
弁護士の聞き取りに対し村長は、「記憶はあいまい」とした上で、書類を投げたことは否定したが、民間企業と比べた発言をしたことは認めたという。
「辞めてしまえ」 村長「記憶ない」
全員協議会後、村長は記者の取材に応じた。(主なやりとり)
記者:
職員に対して村長が辞めてしまえと?
村長:
それは記憶にない

記者:
書類を投げつけた?
村長:
ない、それは記憶にない
記者:
決裁の押印がしてあるのに、それは知らないと言った
村長:
それ記憶にあります。書類がたくさんあるんですけども、どんどん印鑑押すんですよね。その後、時間経って決裁いただいたその仕事やりたいと(言われて)、俺そんなの聞いてねえと(伝えた)、それで確認したら、印鑑ついてありました。

記者:
民間企業に比べると、公務員はだめだと?
村長:
それは言いました、記憶にあります。視野が狭くてだめだと、そういうことですね。
村長「本人がパワハラと思えば」
明確に覚えているということなんですけど、2つの行為(民間企業に比べると公務員はだめだという発言、決裁の押印がしてあるのに、それは知らないと言った発言)に関しては、村長の中ではパワハラという認識ではなかった
村長 :
なかったんですよね、だけど相手がどう受け取るかによってですよね。それだけなんですよ。それだけなんですよね

記者 :
村長の認識としてはそういうことではなかった?
村長:
そう
記者:
パワハラではないかと指摘があったことについては、今、パワハラだと思うか、そうではないと思うか、どちら?
村長 :
これは本人の問題なんですよ、本人がそうだと思えば、それはパワハラなんですよ、私はそう思っていますけどね

記者:
当時はパワハラの意識はなかったけども、本人がそう言っているのであれば?
村長 :
そうです、私は結局ね、仕事の指導かな、よくなってもらいたいとか、うんとそれが強いから、それが出たと思うんですよね
記者:
本人がそう感じているのであれば、パワハラに当たるかもしれない
村長:
かもしれません、もっと調べなければいけないと思っています
記者:
押印を忘れていたことは事実であると話しましたが
村長:
すごい書類がまわって来るから印鑑を押すんですけど、実施する時に、時が経ってくると、記憶力、忘れないつもりですけど、忘れちゃっていると、それでこういう仕事をしたいと(言われて)、私はそんなの決裁した覚えはないと、調べたら決裁印が押してあるのが事実ですね
村長「事実関係をはっきりと」
記者:
今のお気持ちとしては、どんなように感じていますか
村長:
事実関係をはっきりして、私はどういう処分受けるかわかりませんけど、処分受けなきゃいけないですし、それから処分に対して何らかの意思表示をしなければいけない、その結果によってねと思いますが

記者:
ご自身で進退を決められるという考えはありますか
村長:
それはわかりませんね、まだ
記者:
事実関係の結果を見て?
村長:
そうですね、はい
全職員を対象にアンケート
会見で村の顧問弁護士の長谷川洋二氏は 「パワハラの問題は火の気のない所に噂は立たないという前提で、加害者はうそをつく可能性がある前提で厳しく(調査を)やるつもり」と話した。

パワハラ疑惑については、今後、顧問弁護士が全職員を対象にアンケートを行い実態を把握する方針だ。
村長は、アンケートの結果などを踏まえて意思表示するとしている。
公職選挙法違反の疑惑も
一方、公職選挙法違反の疑惑も浮上している。
2022年の参議院選挙の公示日前に、役場の課長会で自民党の全国比例区の候補者のリーフレットを配ったことが公選法違反にあたるのではと指摘されたという。
村長は、配布の事実は認めつつ、「政党の作ったリーフレットではなく違反ではないと判断した」などと話したという。

公選法の疑惑については、すでに警察に事実を申告したという。
小田切村長は 「事実関係がはっきりした段階で意思表示したり、発表しなければいけない。仮に警察が立件しようとするようであればが全面的に捜査に協力したい」と述べた。
(長野放送)