2022年に開催された全国の和牛王座を決定する「第12回全国和牛能力共進会」で“日本一”を獲得した鹿児島。なかでも畜産が盛んな志布志市には、2023年にオープンした人気精肉店がある。常連客から“うちの冷蔵庫”“働く主婦の味方”などと熱い支持を集めるこの店を取材した。
有数の畜産エリアにオープンした精肉店
鹿児島県東部にある志布志市は、一部が宮崎・都城市に接する人口約2万9000人の街だ。
この記事の画像(23枚)“和牛オリンピック”と形容される2022年の全国和牛能力共進会で日本一を獲得した鹿児島の中でも畜産が盛んなエリアだ。
そんな志布志市に2023年オープンした精肉店「ニクノアーリー」。ショーケースに並ぶ肉の数は約40種類。鹿児島黒牛はもちろん、県内産の豚肉や鶏肉などが、リーズナブルな価格で店頭に並ぶ。
オーナーは宮崎県出身
店を営むのは、宮崎県出身の有嶋克哉さんと妻の春菜さんだ。
有嶋さんは、宮崎市で焼き肉店を営む傍ら、日々の食卓にもおいしい肉を届けたいと、鹿児島と宮崎の県境である志布志市に移り住み、この精肉店を開いた。
有嶋さんは、「志布志の飼料会社や畜産農家もすごくいい肉を作っているので。もっといい食べ方やいい肉を消費者に提供したいと思って」と開店の理由を語る。
宮崎にも有名な“宮崎牛”があるが、「鹿児島牛もメチャメチャおいしい」という有嶋さんは、鹿児島でその二つをつなぎたいと考えたそうだ。
対面販売にこだわる理由とは?
店は対面販売にこだわり、お客さんとのふれあいを大切にしている。来店客と店頭でにこやかに話をする有嶋さんと春菜さんは、心から会話を楽しんでいた。
「対面だからこそ、“その日オススメのいい肉”を紹介できる」という有嶋さんは、「お客さんから『この前のあの肉おいしかった』と言ってもらえるのがうれしい」と充実した表情を見せた。お客さんとの会話のキャッチボールが弾む理由がわかるような気がした。
ここは“うちの冷蔵庫”“働く主婦の味方”
精肉店ならではのおもてなしに、来店客からは「ここは“うちの冷蔵庫”。やっぱり質がいいのと、『これだけカットして』と言ったらしてくれる」「鶏モモもキレイに処理してあって、肉の大きさも自分が作りたい料理に合わせて切ってくれるので。家に帰ったら味付けするだけ。“働く主婦の味方!”」と、反応は上々だ。
イチ推しは、“チキン南蛮”と“黒メンチ”
店では木・金・土曜日限定で、こだわりの総菜も販売している。
有嶋さんの地元・宮崎でおなじみの「チキン南蛮」(3個 税込500円~)は、やわらかい鶏モモ肉を使い、甘酢のやさしい酸味と自家製のタルタルソースの相性がたまらない自慢の一品だ。
もうひとつは、お店イチ推しの「黒メンチ」。黒毛和牛と豚のあらびきミンチを、手ごねで作っている。衣に生パン粉を使うことで、サクサクの仕上がりになるのだ。黒メンチ(1個 税込250円)を食べてみると、衣がザクザク、中はジューシーで、口の中で肉と玉ねぎの甘み、うまみが広がる。お肉屋さんのメンチカツは、やはり絶品だ。肉にしっかり味がついているため、ソースなしでもおいしいのだ。
「肉の日セール」やイベントも人気
11月29日は、語呂合わせで「いい肉の日」。「ニクノアーリー」では、11月29日と30日の2日間、「肉の日セール」を開催した。
鹿児島黒牛(A4・A5等級)のサーロインステーキ(1枚 約200g)やバラ肉(うす切り100g)を通常よりも安く販売した。
また、12月8日開催の「しぶし肉フェス」(志布志公園)では、鹿児島黒牛カルビと県産豚バラ、鶏モモを詰め込んだ、お店厳選の焼肉セット(3~4人用 税込4500円)を販売する予定だ。
全国にも“いい肉”を届けたい
オープンして1年。有嶋さんはこれからも、志布志の地から鹿児島の肉の魅力を伝えていくという。
「メンチカツ1個からでも、気軽に買いに来てもらえたら」という有嶋さんは、「地元の皆さんはもちろん、地方発送もしているので、全国の皆さんに鹿児島の“いい肉”をお届けできたら」と、抱負を語る。
対面販売にこだわり、客とのコミュニケーションを大切にする地域の精肉店は、畜産県の良質な肉の魅力をこれからも鹿児島、宮崎、そして全国へと届け続けてくれるだろう。
(鹿児島テレビ)