とにかく逃れようとする立場で動いているので、知っていても知らない顔をして「全くわかりません」「聞いたこともありません」と、しらを切っています。これは自己保存の本能の働きによるものです。

潜在能力を発揮できる本当に凄い人は、自己保存の本能を乗り越えてしまいます。逆に言うと、本能に逆らうことができなければ潜在能力は発揮できないのです。

人間は自己保存の本能が働いて難しいことを考えたくないのです。だから、目標を小さくして自分を守ろうとします。しかし、それでは大きな潜在能力は発揮できません。

世の中で大成功を遂げている人の共通点

潜在能力とはいざとなったら出てくる能力で、意識的につくり出せるようなものではないと普通の人は考えます。しかし、世の中で大成功を遂げているような人は、どうやって自己保存の本能を外して潜在能力を引き出そうかと考えています。

潜在能力という言葉はそれ自体が非常に魅惑的な言葉で、できる人はそれについて深く考えているけれど、できない人は全く考えていないのです。

そして、できる人は潜在能力について奥深いところまで考えているため、いざというときでなくても意識的に自己保存の本能を外して桁違いの潜在能力を発揮することができるようになるわけです。

先に潜在能力から運が生まれると言いました。「生まれる」という言い方は軽すぎるかもしれません。運が良いとか悪いというのはどうしてなのか。

いろいろな人がその理由を述べています。しかし、それらの大半は体験に基づくもので普遍的とは言えないように思います。中にはこじつけと言ってもいいような理由も混じっています。

では、運を引き出す原理とはなんでしょうか。それは潜在能力を鍛えて開花させることです。運の原点に、潜在能力があるのです。それを鍛えていつでも発揮できるようにすれば、誰でも運を引き寄せることができるようになるのです。

『運を強くする潜在能力の鍛え方』(致知出版社)

林成之
日本大学名誉教授。脳科学をスポーツに応用し、北京オリンピック競泳日本代表の北島康介選手らの金メダル獲得に貢献。脳低温療法を開発し国際学会の会長も務めるなど、脳蘇生治療の第一人者としても知られる。著書に『<勝負脳>の鍛え方』(講談社現代新書)、『脳に悪い7つの習慣』(幻冬舎)などがある。

林成之
林成之

昭和14年富山県生まれ。日本大学医学部、同大学大学院博士課程修了。マイアミ大学医学部、同大学救命救急センターに留学。平成3年日本大学医学部附属板橋病院救命救急センター部長に就任。27年より同大名誉教授。脳科学をスポーツに応用し、北京オリンピック競泳日本代表の北島康介選手らの金メダル獲得に貢献した。脳低温療法を開発し国際学会の会長も務めるなど、脳蘇生治療の第一人者としても知られる。
著書に『<勝負脳>の鍛え方』(講談社現代新書)、『脳に悪い7つの習慣』(幻冬舎)などがある。