街中をゆっくりと、リヤカーを引いて歩く男性。
東京・青梅市で10年以上、リヤカーを引き続けている久保田哲(くぼた・てつ)さんです。

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久保田哲さん:
“時速2キロの世界”って言ってますけど、ぼちぼち売れればいいんですよね。

リヤカーで売っていたのは、夫婦二人三脚で作ったシフォンケーキ。
ふわふわ食感が評判で、地元では人気の商品です。 

客:じゃあ1個1個くれる?
久保田哲さん:5種類ありますよ。
客:じゃあ5種類もらおうか。
久保田哲さん:軽くなります。ありがとうございます。

久保田さんは週4日、好きなルートを歩き、気の向くままに販売する“頑張りすぎない働き方”を続けています。

久保田哲さん:
四六時中働いて、たくさんお金が入ってきても倒れたら終わりですもんね。そんなに頑張らなくても、他に楽しいことも楽しみながら、僕はそれが豊かだと思うんですけど。

40代の頃、会社員だった久保田さんは、多忙な日々と様々なストレスからうつ病を発症。
約5年の療養期間を経て、働き方への考え方が一変したといいます。

久保田哲さん:
朝から晩まで働いてもいいよという人はそうすればいいと思うんですけど、それだとつぶれる人もいるじゃないですか。僕みたいにね。(働き方の)選択肢があるって、すごく大事だと思います。

“働き方はひとつじゃないと伝えたい”。
その思いで久保田さんは10年以上、ゆっくりとリヤカーで歩き続いているのです。

久保田哲さん:
こういう働き方もあるし、ちゃんと生きていけてるよっていうことを伝えられたらいいなと思いますね。それをずっと体現していきたいなと思います。

“働き方は自分で選択できる”と、リヤカーで歩き続けることで体現する久保田さんの活動はあすも続きます。
(「イット!」11月13日OA)