アメリカで26日、バイデン大統領がイスラエルとレバノンのヒズボラとの停戦合意を発表した。
停戦は日本時間27日午前11時に発効したが、その後もレバノンで銃声や爆発音が確認された。
今後の合意履行と中東の緊張緩和が注目される。

停戦期間は60日間…停戦発効も銃声響く

アメリカのバイデン大統領は26日、イスラエルとレバノンの武装組織「ヒズボラ」との戦闘をめぐり、停戦合意に至ったと発表した。

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停戦は日本時間27日午前11時に発効したということだが、その後もレバノンでは、銃声や爆発音のような音が聞こえ、空には赤い光が確認された。

バイデン大統領は、「イスラエルとレバノン政府が、イスラエルとヒズボラ間の壊滅的な戦闘を終結させるというアメリカの提案を受け入れたことをうれしく思う」と述べた。

イスラエルとレバノンの親イラン武装組織ヒズボラは、2023年10月から戦闘を続け、アメリカが停戦を呼びかけていた。
バイデン氏は、停戦期間は60日間で、レバノン軍と治安部隊が統制を取り、イスラエル軍がレバノン南部から撤退することで、双方の民間人は安全に自宅に戻ることができると訴えた。

一方で、「ヒズボラなどが合意を破った場合、イスラエルには国際法にのっとった自衛の権利がある」と警告している。

これに先立ち、26日、イスラエルのネタニヤフ首相もテレビで演説し、ヒズボラの指導者を殺害し、多くのインフラを破壊するなど「数十年後退させた」として成果を強調した。

停戦前にもイスラエル軍がレバノンの首都ベイルートを空爆しており、今後、合意が着実に履行され、中東の緊張緩和につながるか注目される。

トランプ氏就任と停戦の関係

ここからは、フジテレビ・立石修解説委員室長が解説する。

青井実キャスター:
ーーなぜ今、停戦合意となったのでしょうか?

レバノン・ベイルートの空爆
レバノン・ベイルートの空爆

フジテレビ・立石修解説委員室長:
イスラエルは、ヒズボラに壊滅的なダメージを与えていますし、イスラエル側も兵士の休息や装備の補充の必要に迫られていました。一方で、後ろ盾であるアメリカからも戦線拡大への批判があり、これに対応する必要にも迫られていました。

ポイントは、トランプ氏の大統領就任で、トランプ氏はバイデン大統領よりもネタニヤフ首相に近く、トランプ氏が大統領になれば、ガザの戦後処理なども有利に進められるという思惑があると思います。大統領就任前に、いったん事態を沈静化する狙いもあるかもしれません。

青井キャスター:
ーーパックンはどう見ますか?

スペシャルキャスター パトリック・ハーランさん(パックン):
ずっと停戦を呼びかけていましたし、今回はその外交の成果だという評価もできるかなと思います。割とオーソドックスな外交策の政権の方が、もしかしたらトランプ政権よりも、仲介役としてやりやすいという現地の声もあるかと思います。

しかし僕は単純に、イスラエルの皆さんは、このレバノンとの戦争が長引かないように、実効支配しないようにという熱い国民の民意があったのかなと思いますね。

青井キャスター:
ーー26日もイスラエルは、レバノンの首都ベイルート空爆したりしているわけで、本当に停戦に至るのかということです。

立石解説委員室長:
武装組織ヒズボラのスポンサーはイランですが、イランはトランプ氏を相当警戒しているはずです。イランの国連特使がイーロン・マスク氏と緊張緩和に向けて協議したと報じられ、トランプ政権に近づく姿勢も垣間見えます。

停戦期間は60日で、2025年1月20日のトランプ氏就任までとほぼ一致しており、この間に双方が合意を破ることは考えづらいです。しかし、偶発的な戦闘などが起こるおそれはあります。

青井キャスター:
ーーガザ地区の停戦の可能性については、どう見ますか?

立石解説委員室長:
イスラエルは、ガザ地区に戦力を集中することができます。この戦いを始めたハマスも現時点では辞めるつもりはなく、停戦の兆しはありません。ただ、トランプ氏は「中東の混乱を終わらせる」とも宣言しており、大統領就任後に、イラン、イスラエルを含めてどのように話し合いの枠組みを持つかにかかってくるところです。

青井キャスター:
あと2カ月ですが、バイデン大統領の今後の動向にも注目です。
(「イット!」11月27日放送より)

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