冬の味覚に“価格高騰の波”が押し寄せています。
都内にスーパーを構える「アキダイ」の秋葉弘道社長が、「今年はちょっと異例の高さだ」と話すのは、おでんの具に欠かせない「大根」です。
この記事の画像(15枚)例年、11月は流通量が増え、安い時には1本100円を切る時もある大根が、今年は1本194円に(アキダイ店頭価格 11月26日時点)。
これは、去年と比べると約5割ほど高いといいます。
「アキダイ」秋葉弘道社長:
非常に需要も高まって、本来だったら安い時期に高いって状況です。
――なぜこんなに高騰を?
夏から秋にかけての高温というのが、非常に産地に影響を与えたといって、過言じゃないですよね。今年は、ちょっと異例の高さだなと思います。
「エッグショック」再びか?クリスマスにも影響
値上げしているのは、大根だけではありません。
川崎市のケーキ店では、クリスマスケーキの定番・ショートケーキが、去年は5号サイズで5700円(税込み)だったのに対して、今年は5号サイズ7000円(税込み)に。
値上げの要因として、原材料、特に「イチゴ」と「卵」が高騰していることが大きく影響しているといいます。
栃木県にある、野口英雄いちご農園によると、今年は猛暑の影響で葉っぱだけが大きくなって実がならず生育が遅れているため、メインで作っている「とちあいか」は間に合うものの、ほかのイチゴはクリスマスシーズンには間に合わないといいます。
スーパーアキダイの秋葉社長によると、この高騰は12月頭に一度落ち着き、中旬から年明けにかけてまた高騰するということで、イチゴを買うなら12月の頭~中旬がチャンスだといいます。
一時は収まった卵の高騰も、過去最悪のペースで猛威をふるう“鳥インフルエンザ”が原因で、徐々に価格を上げています。
今年は、「エッグショック」と言われた2022年に匹敵するペースで、26日時点で9道県11事例発生し、約121.3万羽が殺処分対象となりました。
卵の値上げは、ケーキだけでなく、「すき焼き」にも影響を及ぼしています。
東京・港区の創業114年「すき焼き 今朝」。変わらない醤油ベースの割り下に、極上黒毛和牛を提供してきましたが…。
「すき焼き 今朝」 店主・藤森朗さん:
夏は比較的安くはなったんですけど、(卵の価格が)また上がってきているという状況です。かなり響きます。
「すき焼き 今朝」では、追加の卵を150円から300円に値上げしたということです。
去年1000円が今年4500円
海の食材にも価格高騰の波は押し寄せています。
これからの年末年始おせちにも欠かせない「ホタテ」。
ホタテの平均価格は年々上昇傾向にありますが、去年10月の価格が1kgあたり4365円だったのに対して、今年は6008円と1700円近くも上がっています。
都内のフレンチレストラン「白樺」では、ホタテ1kgの仕入れ値が、先々週3800円、先週4500円、今週4400円と変動。「契約している青森県漁師さんのホタテ漁獲量が少ないため、買い入れができない状況」だと話します。
青森県の水産振興課によると、ホタテ生産量全国2位の青森県の漁獲量が激減。
去年(1月~5月)は2万4000トンだったのが、今年(1月~5月)は1万2000トンと半分以下の生産量になっています。
ホタテを養殖する陸奥湾の海水温の記録的上昇、もともとホタテの子ども「ベビーホタテ」不足に加え、去年から続く記録的な高温で「ベビーホタテ」が大量死したことなどが原因といわれています。
生産量全国1位の北海道でも価格が高騰。
札幌市内のスーパーでは、「値段が高い安いというより、売るべき生のホタテが無い状態が続いている」といいます。生ホタテ(仕入れ値)は、去年800g1000円だったものが、今年は4500円と、約4.5倍に。
原因として、ホタテの養殖が盛んな北海道噴火湾で「貝毒」が発生、漁獲量が減少したことに加えて、正月に向けて冷凍ホタテ需要が増加していることがあげられます。
家計への負担増は、今後もしばらく続きそうです。
(「めざまし8」11月27日放送より)