1世帯当たりの年間餃子購入額が日本一の静岡県浜松市。その浜松市にある餃子専門店が“革命的”な新商品を開発した。それが、餃子の餡に地元の特産品であるウナギを混ぜ込んだ“ウナギ餃子”だ。

ウナギのエキスを餃子の餡に

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浜松市中央区西伊場にある餃子専門店、その名も「餃子の革命物語」。

看板商品は“ウナギ餃子”だ。

この“ウナギ餃子”を生み出した店主の近藤明美さんによれば、ウナギの頭を煮て、その頭の身が溶けた状態のエキスを冷やして煮こごりにして餃子の餡(あん)の中に混ぜ込んだのが”ウナギ餃子”だという。

ウナギのエキスを餡に練りこむ
ウナギのエキスを餡に練りこむ

捨てられる頭が「もったいない」

一般的にかば焼きや白焼きとして食べられることが多いウナギ。

しかし、頭や骨は捨てられてしまうことがほとんどで、近藤さんはここに着目した。

捨てられていたウナギの頭など
捨てられていたウナギの頭など

餃子の革命物語・近藤明美 店主:
ウナギの一番おいしい部分は頭。頭に一番旨味が詰まっている。この頭が捨てられている、これは“どえらいこと”だということで(利用法を考えた)。(ウナギは)捨てるところがなく、栄養価が高くておいしいので、これは絶対使わない手はない。これが浜松餃子

根底にあるのは”もったいない”という思い。

ウナギの味がしない…厳しい意見も

ウナギは蒲焼きが人気
ウナギは蒲焼きが人気

ただ、当初は客から「ウナギの味がしない」といっった厳しい意見が続出。

それでも諦めることなく試行錯誤を繰り返した。

餡に肝を入れるなど工夫も
餡に肝を入れるなど工夫も

餃子の革命物語・近藤明美 店主:
企業として専門的にそういうこと(フードロス削減)ができたら世の中のためになるのではないか。客が喜んでくれて、業者が喜んでくれて、浜松市にも貢献できて、自分もうれしい。“四方良し”になるようにするためにはどうすればいいか考えたら、これしかなかった

ウナギ餃子を作り始めて6年。

売り上げはまだまだだが、いまでは年間6トンものフードロスに貢献しているという。

骨から取った出汁でおでん

骨の加工品も販売
骨の加工品も販売

また、近藤さんはウナギの骨の加工品も販売している。

この日は前月から取引を始めたばかりのホテルを訪れた。

「ホテル ウェルシーズン浜名湖」では地産地消にこだわっていて、近藤さんが加工したウナギの骨から取った出汁を使ったおでんを宿泊客に提供している。

ホテル ウェルシーズン浜名湖・鈴木康生 料理長:
浜松・浜名湖といえばウナギなので、地元性を生かした出汁にしたいと思って作っている

近藤さんも実際に完成したおでんを見たり味わったりするのは初めてということで、喜びに満ちた表情をのぞかせる。

餃子で全国からフードロス削減へ

餃子の革命物語・近藤明美 店主:
うれしいし感謝しかない。何が正しいのかどうすればいいのかわからない中で、もったいないを主体にやってきたことが、このような素晴らしい形になっているということに感動しかない

近藤さんが目指す未来、それは餃子を通して全国からフードロスをなくすこと。

近藤さんは「他県の餃子を作っている人も、地域で無駄になっているものが必ずあるはずなので、それを使って意識して(餃子を)作ってもらうことができれば、結果的にみなさんが笑顔になるのでは」と期待する。

ウナギ餃子
ウナギ餃子

そのためにもまずはウナギ餃子の認知度を高め、地元の人から観光客まで多くの人に自らの取り組みを知ってもらうことが今の目標だ。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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