近年、港を核に再開発が進む静岡市の用宗地区で空き家を活用して民泊施設を作ろうという取り組みが進められている。インバウンドの獲得が主な狙いだが、一方それだけではないようだ。

マリンリゾート的な開発進む用宗

用宗港のシラス水揚げ
用宗港のシラス水揚げ
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シラスが特産の静岡市駿河区用宗。

近年は港周辺の開発が進み、飲食店や雑貨店などが集まる複合施設が誕生するなどにぎわいを見せている。

用宗港周辺の店舗
用宗港周辺の店舗

地元住民は「海があるので砂遊びもできるし、子供が入れる店や犬も入れる店もあるのでとても遊びやすい」とその環境に対する満足感を口にする。

その用宗に今さらなる新しい風が吹いている。

築90年空き家となって20年の家が

JR用宗駅から歩いて10分ほどにある築年数が約90年の古民家は20年ほど空き家となっていた。

桜井さんと齊藤 記者
桜井さんと齊藤 記者

Astlocal・桜井貴斗 代表
ここに4部屋 畳があるが1棟貸しの場合はリビングスペースとして活用する予定。ちゃぶ台や座布団を置こうかと思っているので、くつろいだりゆっくり休んでもらえるようなスペースにする

空き家だった古民家の内装工事
空き家だった古民家の内装工事

静岡市によれば高齢化や人口減少により市内で1万戸を超えると言われる空き家。

その利活用や管理が課題となる中、葵区の企業が民泊施設として再生しようと2024年8月から改装作業を行っている。

インバウンドを取り込むハブに

用宗港近辺の施設
用宗港近辺の施設

作業を進めるAstlocal・桜井貴斗 代表は「静岡のインバウンドはどうしても県東部エリアに集中しているので、もっと県の中部に海外の人に来てもらいたい」との思いから「飲食店・風呂・酒はもう用宗にそろっているので、あとは住む家や宿が足りていないことに着目をして、我々が泊まるきっかけのハブになるように民泊を始めた」と話す。

工事に当たっては海外から来る観光客の需要を見込み、古民家特有の“和”のイメージを残すことを重視。

また、10月15日まで行ったクラウドファンディングには目標を上回る507万円あまりの支援が寄せられたそうだ。

Astlocal・桜井貴斗 代表
ゆったり過ごせてのんびりできるという静岡の良さも相まって、(用宗が)魅力的かなと思ったのでこのあたりをもっと世の中に伝えたい

施設に地元の人も愛着を

左官イベントの参加者(10月5日)
左官イベントの参加者(10月5日)

桜井さんは地元の住民が古民家の内装の左官作業を行うイベントも企画。

この施設を地域の人にとっても憩いの場として活用してほしいと考えているため、愛着や親しみをもってもらおうという試みで、「もちろん1個1個(自分たちの)手作りでやっていきたいというのもあるが、地域住民の皆さんにも一緒に携わってもらいたいと思った」と狙いを明かす。

左官イベントの参加者
左官イベントの参加者

参加者もまた「すごく完成が楽しみ」「こういうところがもっと増えてほしい。地域に1個ずつこういう拠点あればいろいろな世代のつながりの場所になる」と好意的な反応だった。

オープンは12月中を目指していて、桜井さんはこの場所が訪れた人にとっての交流拠点になることを願っている。

Astlocal・桜井貴斗 代表:
何か話したい、情報交換したい時の1つのきっかけにこの場所がなればいいと思っている。住民の交流拠点になりつつ観光の拠点にもなるような、どちらか1つを対象にするのではなく、どちらにとってもいい場所になってほしい。そんな思いで海外の人と地元の人の両方の交流拠点になれば

用宗エリアを散策する桜井さん
用宗エリアを散策する桜井さん

桜井さんは今後周辺の施設との連携を深め用宗エリア全体としての観光活性化を目指すほか、市内にある他の空き家を利用した民泊施設の開業も目指す考えだ。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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