神奈川県の藤沢駅前では、10年前から大量のムクドリが飛来し、周辺住民らを困らせている。
市はムクドリ対策として駅前のケヤキを伐採するなどした。しかし現在、2028年3月末まで続く予定の再開発工事で使用中のクレーンを“宿り木”として集まっている様子も見られ、市は18日、クレーンに鳥が嫌がる超音波装置を新たに設置した。

周辺住民が頭を悩ます騒音と、ふん尿被害

19日午後4時20分過ぎの藤沢駅前。
夕暮れの空に黒っぽい影が群れを成して飛び回り、次第に数を増していく。

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駅前再開発工事のクレーンに群がっていたのは、おびただしい数のムクドリ。

駅の利用者からは「すごい形になっている」「なんか気持ち悪い」「いっぱいいると怖い。鳴き声がすごい」といった声が聞かれた。

JRや小田急電鉄、さらに江ノ電が乗り入れる藤沢駅は、多くの人が乗り降りするターミナル駅だ。

駅の利用者は「怖い。『ふんしないでよ』とか思ってて。常に帽子をかぶっていないとと思う」などと警戒する。

周辺住民を悩ませているのは、ムクドリの鳴き声による騒音と、ふん尿被害。

群れを成すムクドリの“止まり木”となっているのが、藤沢駅南口の再整備事業のために設置された工事用のクレーンで、ワイヤーにもびっしりとムクドリが止まっている。

駅のタクシー運転手:
ムクドリは十数年来悩まされている。鳴き声も夜中じゅうずっとなので、それはうるさいなと。

市はクレーンに鳥が嫌がる超音波装置を設置

藤沢市によると、藤沢駅前では少なくとも10年前からムクドリ被害が続いていて、市民から多くの苦情が寄せられてきたという。

藤沢市役所 道路維持課・青柳栄喜主幹:
大きなケヤキの木が駅前にありまして、ムクドリが多く止まるということで(2023年)10月に駅のロータリーの強剪定(せんてい)をしました。

そこで2023年10月、市はムクドリの寝床となっていたバスターミナルのケヤキを短く切り落とすなどの“ムクドリ対策”に乗り出した。

さらに、木の幹に唐辛子成分を含んだ忌避剤を塗るなどの対策も講じたものの、ムクドリは工事のクレーンや周辺の木に居場所を移しただけという状態だという。

藤沢市役所 道路維持課・青柳主幹:
やはり他の大きな木のところに移ったような状況になってしまった。もう(頭を)抱えています。いたちごっこの部分がある。

2028年3月末まで続く予定の再開発工事。
その現場では18日、工事用のクレーンに鳥が嫌がる超音波装置が新たに設置された。

現状ではムクドリが群がることによる工事への影響は出ていないというが、今後、追加のムクドリ対策が必要か検討していくという。

駅の利用者:
(ムクドリが)どっか行ってくれれば良いんですけど…。

ムクドリと藤沢市の間での長年にわたる戦いについて、日本有害鳥獣駆除・防除管理協会の依田信一郎代表は、「鳥獣保護法で守られているので、駆除は基本的にダメ。音を出すとか、嫌がる臭いの物を置くであったりとか、根気強く対策を続けていくことが非常に重要になってくる」という見方を示す。
(「イット!」 11月19日放送)

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