夫婦だからと言って、妻もしくは夫を下に見るような発言を日常会話の中でしていることはないだろうか。
相手へのリスペクトのない発言や態度が夫婦関係を悪化させかねないという。
離婚カウンセラー・岡野あつこさんは、夫婦関係を長く継続させるには、相手へのリスペクトとちょっとしたコミュニケーションが大事だと指摘する。
夫婦間の「ささいな不満」にまつわるトラブルを解決するべくヒントをまとめた、著書『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?夫婦関係を改善する「伝え方」教室』(講談社+α新書)から一部抜粋・再編集して紹介する。
挨拶だけでも夫婦は変わる
朝起きて顔を合わせても「おはよう」とも言わない。それどころか「フン」と返事にもならないリアクションをしてくる始末。
トラブルの絶えない夫婦ほど、お互いにこういう態度を取りがちです。パートナーをリスペクトしていないことが言い方や態度から明白に伝わってきます。
そうしたコミュニケーション、伝え方をやめて、挨拶や相手へのちょっとした声掛けを増やすと、相手を尊重していることが伝わります。
この記事の画像(4枚)朝起きたら気持ちを込めて「おはよう」と挨拶し、食事の前には「今日のご飯はこれだから」とか、ちょっとしたコミュニケーションを欠かさないことが大事です。
外出時には「気をつけてね」と声掛けしたり、リスペクトし合っている夫婦の間には、こうした「ちょっとしたコミュニケーション」があふれています。
意識的に挨拶を増やすことはもちろん、「相手をリスペクトすること=コミュニケーションを大事にすること」と肝に銘じて、丁寧な態度を心がけてみましょう。
たとえうまくできなくても、「パートナーをもっとリスペクトしよう」と思うだけでも、相手には結構伝わるものです。
たったこれだけでも、冷え切っていた夫婦関係が改善することがあります。
「ケンカして一晩中詰め寄る」はNG行為
夫婦によくある「間違ったコミュニケーション」の一つに、「ケンカをしたときに解決を急ぎ、一晩中詰め寄る」があります。
パートナーの浮気が発覚した、とか、相手の問題行動を見つけた場合など、出口のない詰め方で相手を追い込む行動に出る人も多いようです。
でも、冷静に考えれば、これが得策ではないことがわかると思います。
相手に問題行動があった場合、カッとなってしまう気持ちもわかりますが、たいていは相手にも何らかの言い分があるものです。
一晩中詰め寄っても、相手が素直に反省の思いを打ち明けてくれるとは限りません。
むしろ、相手はますます態度を硬化させ、その行動に至った根本的原因について釈明することもせず、胸の内に秘めてしまうでしょう。
そもそも明日も仕事などがあるのに、一晩中詰め寄ったりすること自体、相手をリスペクトしていない証拠です。自分をリスペクトしていない人に対して、相手が心を開いてくれることはありません。
もちろん、いますぐ白黒はっきりさせて、場合によっては離婚するというなら、それも有効な手かもしれません。ただ、これからも夫婦関係を維持するつもりなら、一度冷静になって相手の立場に立って話を聞いたり、せめて話を中断して落ちつくことも必要です。
自分では正しいと思っていても、それはあくまであなたの考えです。自分本位の考えや、常識、倫理観をつきつけるのではなく、冷静に相手の気持ちを分析するほうが、関係改善につながります。
岡野あつこ
夫婦問題研究家、パートナーシップアドバイザー。公認心理師。34年間で約4万件の相談を受ける。「結婚・再婚のアツコブライダル」、「離婚相談救急隊」を運営し、夫婦問題カウンセラー育成も行う。YouTube「岡野あつこチャンネル」は登録者6万人以上。「特定非営利活動法人 日本家族問題相談連盟」理事長。目白大学短期大学部非常勤講師。